引退議員に聞く

選挙至上主義からの脱却 新しい政治の在り方を目指して

山尾志桜里・前衆院議員
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山尾志桜里氏=岡本同世撮影
山尾志桜里氏=岡本同世撮影

出馬しない理由

 私は次の衆院選に立候補せず、次のキャリアに挑戦します。理由は大きく二つ。一つは「選挙に落ちるまで政治家。選挙区に骨を埋めるのが当たり前」という永田町の常識を覆して、「期間限定政治家」という新しいキャリアを示すためです。さらには、このまま漫然と政治家を続けていくよりも、永田町の外に出て新しいキャリアを切り開いた方が自分自身も成長し、より社会に貢献できると確信しているからです。

政治家に必要なこと

 政治家に重要なのは、政策を作り実現する力であり、あわせて行政を正しく監視すること、つまり立法と行政監視が仕事です。現職の場合、当然選挙ではその仕事ぶりで評価されるべきだと考えます。でも政治家は、任期中の本業よりも次の選挙に当選するための作業に多くの時間を割いているのが実情です。国会活動よりも選挙区内の盆暮れのイベントの参加、街頭演説、そして多くの有権者と握手することが優先されています。

 私も10年の議員生活の前半は、そうした選挙のための活動を人一倍してきました。駅で知らない人に近づき、握手をする――普通に考えたら「異常」な行為ですよね。でも、この異常性と握手のぬくもりこそが相手の意識に強く残り、票につながる。しかしある時、「この行為は自分の当選にはプラスだけど、日本の民主主義にとってはマイナスではないか」と感じてしまったのです。

 選挙至上主義から脱却すれば、地元での選挙のための活動を軽減し、その分、政治家本来の仕事に集中できる。私は2017年当選後の3期目は、その任期いっぱい全力で国会活動に集中し、選挙のための地元周りはしないと決めました。

期間限定の政治家

 さらに現在の選挙至上主義のもとでは、同じ選挙区から現職優先で出馬し続けることが当然とされ、そのことは政治家というプレーヤーの健全な新陳代謝を阻み、国会を硬直化させています。若い世代の政治への門を閉ざし、実績よりも当選回数を重ねる「先輩議員」が力を持ってしまう。女性が挑戦する環境は整わず、女性議員の比率が一向に増えない根本原因にもなっています。

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山尾志桜里

前衆院議員

1974年生まれ。検事を経て、2009年衆院初当選。民進党政調会長などを歴任。衆院愛知7区、当選3回。21年衆院選に出馬せず、引退。