狭い政治村のなかで小粒になった政治家

山崎拓・元自民党副総裁
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山崎拓氏=藤井太郎撮影
山崎拓氏=藤井太郎撮影

 私は中選挙区と小選挙区を共に経験しているが、選挙制度のあり方はそこから生まれてくる政治家の姿を変える。今の制度のなかでどれほどスケールが大きい政治家を出していくかが課題だ。

候補の重みが小さくなった

 小選挙区の場合はどうしても党中心、党首中心の選挙になる。党首の持っているイメージに投票が相当左右される。その結果、個々の政治家のスケールは小さくなりがちだ。実質的には党に投票するのだから、候補の重みがそれだけ小さくなる。くじびきで出ているようなものだ。その「くじびき」の一番簡単な方法が世襲だ。だから世襲が増える。

 「政治村」ができてしまっている。政治村のなかで交代していく。だからといって政治村に人材が集中するわけではない。経済界や法曹界など、ほかの村からの人材が減っていく。たとえば科学技術に詳しい人が政治家に選ばれることが減っていく。

 同族結婚を繰り返しているようなものだ。真に国民を代表しているものが出てきているのではなく、もともと政治村にいる人たちが特権階級のようになっている。これは今の選挙制度が原因だ。

 しかし、選挙制度を変えるということにもならない。なぜならば選挙制度を変えるのは法律で、法律を作るのは国会議員だからだ。自分たちの特権を他人に譲りわたそうとは思わない。国会議員は自分たちが選ばれた制度を変えようとは思わない。

 小選挙区の導入にあたっては我々は必ずこうなると主張して反対したが、本当にそうなってしまい、なってしまっては手のつけようがない。

会社員のような政治家

 今の若い政治家は、大企業の会社員のようなタイプが圧倒的に多い。会社では上司の命令は絶対だ。だから執行部にたてつかない。

 しかし、政党は株式会社ではない。一人一人が国民の代弁者として票を得て当選している。有権者からの負託はそれぞれが受けている。その自覚を持って行動してもらいたい。全体主義のように政党の言うことに唯々諾々と従うのでは役目を果たしているとはいえない。国民の期待に応えていることにならない。

 なぜこうなっているか。公認を外されることを恐れているからだ。小選挙区だから、政党だけで通っているから、「自民党公認」だけで通っているからだ。党の言うことに従わなければ公認を外される恐れがあるから、党総裁が仮に不人気であっても、自分の身の安全をはかるため、総裁が持っている組織的な力に対して逆らうことはしない。これが小選挙区制度がもたらしたものだ。

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山崎拓

元自民党副総裁

1936年生まれ。福岡県議などを経て72年衆院選で初当選し、防衛庁長官、建設相、自民党幹事長、党副総裁などを歴任。98年には近未来政治研究会(現石原派)を結成した。当選12回。2009年衆院選で落選、現在は近未来政治研究会の最高顧問。