Social Good Opinion

言葉が切り拓く「挑戦」がある。言葉が切り拓く「未来」がある。

久保田徹朗・Engine クリエイティブ・ディレクター
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久保田徹朗さん
久保田徹朗さん

66.8%

 昨今の気候変動に対する危機感の高まりにより、日本国内でも「SDGs」をテーマにしたテレビ番組のコーナーやメディア記事が急速に増加し、「サスティナブル」と並び、今や「SDGs」は一般語になるまで普及したワードであるかのように感じます。

 SDGs (Sustainable Development Goals) とは、2015年9月の国連サミットにおいて、世界193カ国が同意した「2030アジェンダ」に掲載されている世界共通の目標です。ここ数年のメディアの盛り上がりを見ると、日本国内の多くの企業が自社で社会問題の解決に向けた、何かしらの取り組みをしているように錯覚してしまいます。しかし、現実はまだまだ道半ばです。

 株式会社帝国データバンク『SDGsに関する企業の意識調査 (21年) 』によると、自社における「SDGs」への理解や取り組みについて「意味及び重要性を理解し、取り組んでいる」企業は14.3%で前回調査 (20年) より6.3ポイント増加しています。ただ、一方で「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」企業の合計は全体の66.8%になります。

 つまり、6割以上の企業は、さまざまな理由でその意味や重要性を理解しながらも、社会問題の解決に向けた実際のアクションまでは、踏み出せていない現状があります。

Engine

 [Engine] では社会問題の解決に本気で挑む組織のアクションを、「言葉」を起点として、経営戦略からプロモーション戦略、そして実際のアクションに至るまで、一気通貫した統合プランニングで支援しています。人々による力強い連帯 (円陣) を原動力 (エンジン) に、より良い社会の姿をパートナーと共に描きたい、そんな思いで自らの屋号を [Engine] と名付けました。

 前職は大手クラウドファンディング・サービスのプランナーをしていましたが、社会問題や企業が抱える課題が複雑化し、プラットフォームが多様化する中で、クラウドファンディングという単一の打ち手しか提案できない状況に限界を感じ、21年6月に [Engine] を設立し、さまざまな課題に応じて、あらゆる打ち手を提案する「統合プランニング」に挑戦しています。

 あらゆる組織や個人の仕事には「社会を良くしたい」「誰かを笑顔にしたい」という根源的な願いが在ると信じています。その兆しを丁寧に拾い集めて「言葉」にし、あらゆる方法でその願いを社会実装することが、現在の僕の仕事です。

言葉が切り拓く「挑戦」がある。言葉が切り拓く「未来」がある。

 「言葉」を起点とした統合プランニングの事例をご紹介します。[Engine] 設立後に初めてご一緒させていただいた、県内で発行部数・最大規模の、沖縄県を代表する新聞社・沖縄タイムス社様です。

 現在、日本全国の新聞社が読者層の高年齢化により、新聞社の新たな存在意義やサービスの在り方が問われる過渡期にあります。それは都道府県別で最も高齢化率の低い、沖縄県の新聞社・沖縄タイムス社様も例外ではありません。[Engine] はそんな沖縄タイムス社様が運営するクラウドファンディング事業のリブランディングを担当しました。

 まず初めに、リブランディングの起点となるような「言葉」を探しに、沖縄へ向かいました。それは組織と社会の「変革点」となり、沖縄タイムス社様の挑戦や、沖縄の未来を切り拓(ひら)く「言葉」です。

 実際に現地で行ったワークショップでは、社員の皆さまの入社理由やサービスに対する思い、沖縄の未来について、個人的な話をたくさん伺いました。なぜなら、そこで働く個人の意思の集合体こそが「沖縄タイムス」であると考えるからです。

 そこで感じたのは、社員の皆さまの「報道」を通して社会問題を解決したい、より良い沖縄を実現したいという力強い願いでした。そのような兆しを一つひとつ拾い集め、リブランディング・コンセプトとして、この言葉を掲げました。

 それからは、掲げた言葉と組織の現状との「整合性」を図るように、経営戦略やプロモーション戦略の立案から、クリエーティブ制作に至るまで、あらゆる方法でコンセプトを社会実装していきます。

 現在は、沖縄タイムス社様と一緒に「問題解決型メディア・プラットフォーム」を目指し、「クラウドファンディング事業」のリブランディングに加え、「セミナー事業」のリニューアルと「コミュニティ事業」の新設を行い、沖縄タイムス社様が県民と共に社会問題を学び、解決のために連帯し、行動を起こすまで、一貫して支援するプラットフォームの構築に挑戦しています。

 「L!NK-U by OKINAWA TIMES―変化を起こす、リーダーたちへ。」https://link-ubyokinawatimes.studio.site

無謀な外側

 僕自身を独立へと突き動かしてくれた楽曲があります。それはCreepy Nutsさんと菅田将暉さんのコラボ楽曲「サントラ」です。この楽曲の中でR-指定さんは「人生」をこのように表現しています。

 僕はこの力強い歌詞に導かれるように、暗闇の中でも向こう見ずに、遠い外側へとでっちあげた「僕」に向かって、走り出すことができました。現在も僕の人生の道標となる、とても大切な楽曲です。ただ、これは僕個人の人生だけではなく、組織やこの社会も同様であると考えます。

 公民権運動を率いたマーチン・ルーサー・キング・ジュニアが「 I have a dream. 」と、この社会が追いつくべき外側である、理想の姿を力強い「言葉」で掲げたように、私たちも、このような時代だからこそ、大それていても、青臭くても、諦めずに組織やこの社会の理想の姿をありありと描き、胸を張って「言葉」にするところから始めていきましょう。

 その言葉が切り拓く「挑戦」が、この社会の「未来」がきっとあるはずだからです。

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久保田徹朗

Engine クリエイティブ・ディレクター

NPO法人Learning for All 広報・資金調達部門でキャンペーン・イベントのプランニング業務に従事した後に、株式会社CAMPFIRE でクラウドファンディングのプランニング業務に従事し、合計600件以上のプロジェクトを支援。現在は[Engine] を設立し、社会問題の解決に本気で挑む組織の経営戦略からプロモーションまで一貫した統合プランニングを実施。