増える児童虐待 子どもを受け入れる「社会的養護」のあり方は

小宮山洋子・元厚生労働相、ジャーナリスト
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児童虐待防止を訴えるボランティアら=札幌市中央区のJR札幌駅前で2021年6月5日、高橋由衣撮影
児童虐待防止を訴えるボランティアら=札幌市中央区のJR札幌駅前で2021年6月5日、高橋由衣撮影

 11月は児童虐待防止推進月間です。「子ども虐待のない社会の実現」を目指す市民運動のオレンジリボン運動、そのシンボルマークのオレンジリボンをご存じの方も多いと思います。

 一番保護されるべき家族などから虐待され、命を失うこともある児童虐待をなくすために、児童虐待防止法の再三の改正などが行われてきていますが、児童虐待は増える一方です。

増える児童虐待

 虐待を受けた子どもを育てる社会的養護について、2016年の児童福祉法改正によって、大規模な施設ではなく里親や小規模なグループホームなど家庭に近い環境を推進する方針が強めに出されたために、現場が混乱しました。

 現在は数字ありきではなく、10年以内に小規模化を進めることになっています。虐待を受けた子の行き場がなくなることがないよう、現実的に進めていってもらいたいと考えます。

 20年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数は、20万5029件で、前年度より1万1249件(5・8%)増え、過去最多を更新しました。

 心理的虐待が59・2%、身体的虐待が24・4%、ネグレクト(育児放棄)が15・3%、性的虐待が1・1%です。死亡事例は72例、78人で、心中以外の虐待死(56例57人)では、子どもの年齢は0歳が49・1%を占めています。虐待が年々増加しているのは、法改正などで通報しやすくなったことと、新型コロナウイルス禍で家庭内にいる時間が増えたことなどから実際に増えている、ということの両面があると思います。

児相の人員の増員を

 今年8月には、大阪府摂津市で3歳の男児が死亡し、府警は母親の交際相手の男性を殺人の疑いで逮捕しました(その後、殺人罪で起訴)。死因は全身やけどによる熱傷性ショックで、高温の湯を男児に浴びせ続けたとみられるという胸の痛む事件でした。

 市には…

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小宮山洋子

元厚生労働相、ジャーナリスト

 1948年生まれ。NHKアナウンサー・解説委員を経て、98年参院初当選。2003年衆院初当選。副厚生労働相、厚労相、少子化対策担当相などを歴任。13年に政界引退。