Social Good Opinion

つながりの「循環」は、心の豊かさとサステナビリティーへ

松田怜奈・Social Good Nativesメンバー
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松田怜奈さん=本人提供
松田怜奈さん=本人提供

 近年、社会が大きく変化している中で、「個性」や「人と人とのつながり」といった目に見えない価値にも変化が見られるように感じます。モノやお金だけでは測ることのできない「価値」は、直接的な人とのつながりが難しい現代社会に生きる私たちにとって、必要不可欠な要素なのではないでしょうか。

 考え方や価値観といった目に見えないモノは、今自分が置かれている環境やバックグラウンドによって異なるため、一人一人違うことは当たり前です。それぞれが持つ「個性」こそが、今後はさらに大切になっていくのではないかと思います。そして、その個性や心の豊かさこそが、数あるソーシャルグッドな取り組みの活力としても、さまざまな形で発揮されているように感じます。

まわりと違っていい。画面上ではなく「日常の当たり前」に目を向ける

 周りと同じであること――。

 誰かと自分を比較すること――。

 次々に目に飛び込んでくる情報の中で、自分よりも「他人」に目を向けてしまうことによって、その人にしかない「個性、オリジナリティー」は欠けてしまいます。確かに、比較や競争をすることで互いを高め合ったり、成長したりすることは大切なことかもしれません。しかし、その中でも誰かと比較して自分を卑下してしまったり、ネガティブな感情が生じてしまったりする人が多いように感じます。

 特に、近年はSNSが発達し、人々の生活やコミュニティーに利便性をもたらす一方で、情報があふれていることにより取捨選択ができず、結果的に「必要のない情報まで受け取ってしまい、知らぬ間に心が疲れてしまった」という方も少なくないのではないでしょうか。

筆者提供
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 人と直接つながる機会が減り、画面上の世界に集中してしまうと、日々の暮らしや豊かな自然、周りの音など、目の前にある小さな出来事や幸せが、視界に入らなくなってしまいます。日常の「当たり前」に目を向けてみると、新しい発見や感動を、幸せとして見いだすことができるため、心が豊かに、そして自分自身に余裕が出てくるようになります。

日常の「当たり前」に目を向けて

筆者提供
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 例えば、料理を作る時。手に取った食材、その食材を切るナイフ、塩・こしょうやオイルといった調味料、お鍋やフライパン、お箸、スポンジ、洗剤……。

 挙げていくとキリがないほど、全てのものは「誰か」の手によって生み出されています。目に見えない「誰か」のおかげで、私たちは生活を送ることができているのです。モノの裏側の背景に目を向ける「エシカル」な考え方を取り入れることで、一つ一つに対して自然と「感謝」の気持ちが芽生え、モノを大切に、長く使いたいと思うようになっていきます。

 高価なもの、たくさんのものを持っていなくても、自分自身や周りにいる人、モノを大切にすることで、心の豊かさはどんどん満たされていきます。

誰かを大切にするのと同じように、自分のことも大切にする

 まずは自分の心の「声」を聞いてあげること。何をしている時が楽しくて、何が幸せなのか。家族や友達が困っている時に耳を傾けるのと同じように、自分の心の「声」にも耳を傾けてあげることが大切です。私自身も、自分の心を大切にすることで、心に余裕ができ、物事の捉え方や考え方が前向きに変わっていきました。

エシカルな考え方を取り入れた生活スタイルをInstagramで発信している=筆者提供
エシカルな考え方を取り入れた生活スタイルをInstagramで発信している=筆者提供

 暮らしの中で心に余裕ができると、次は周りの人にも目を向けられるようになります。困っている人がいたら声をかけ、手を差し伸べる。そして、自分がしてもらってうれしいことは、その喜びを分かち合うように誰かにギフトする。その繰り返しが「循環」を生み出し、「Pay It Forward (ペイ・イット・フォワード)」、つまり「恩送り」という思いやりのバトンとしてつながっていくのです。

1年間の休学をして、京都に暮らして感じた「思いやりの循環」

 私は、今年の4月から1年間休学をして京都での暮らしをはじめました。

 京都は中学の修学旅行と、その後何回か訪れたことがある程度で、近くに知り合いがいるわけでもなかったため、私にとっては今までにない新しい環境での生活がスタートしたのです。

 不安や緊張というよりは、新しい生活が始まることにワクワクし、限られた時間の中、「京都」という新しい拠点でどんなことをして、何が吸収できるのか常に模索し続けていました。

 京都という街、ゲストハウス暮らし、インターンシップ、初めて出会う人々……。

 好きな場所で、好きなことに没頭する毎日の中で、新しい発見や気づきに胸が高まる一方で、1カ月ほどたったころ、「結局、将来何をしたいのか」「これから何をしていこう」と、心にぽっかり穴が開いた感覚を味わいました。

 好きなこと、やりたいことはしているはずなのに何だかモヤモヤする……。

 原因の分からない不安に襲われた時期がありました。このような唐突に表れる「不安」は、いつも周りの方々の温かい「思いやり」によって解消されていました。

 例えば、滞在しているゲストハウスで、知らない間にお皿を洗ってくれる方がいたり、お菓子を作ってプレゼントしていただいたり。誰かの思いやりは一番温かくて、心に染み渡るものがあり、自然と活力となっていくのを実感しています。自分が元気な時は、その分誰かの活力になりたい。京都で暮らしていく中で、このような言葉だけではない、人々の温かさが自然とお互いを励まし、支え合っていることに気付きました。

ゲストハウスでの温かいシェアやたわいもない会話にほっと癒される日々=筆者提供
ゲストハウスでの温かいシェアやたわいもない会話にほっと癒される日々=筆者提供

思いやぬくもり、つながりの「循環」をメディアで伝える

 つながりやぬくもりといった目に見えない概念は、「=〇〇です」と結論づけて理解できるものではないと思っています。実際に、私自身もある日突然気づいたというわけではなく、日々新たな気づきが積み重なって構築されていくような感覚です。

 このような言語化が難しい概念を、私はウェブメディア「FLAT.」を通して発信しています。「エシカルやサステナブルをもっと身近に、もっとおしゃれに」をいうコンセプトのもと、さまざまな情報を伝えています。

サステイナブルな情報を発信するWebメディア「FLAT.」=筆者提供
サステイナブルな情報を発信するWebメディア「FLAT.」=筆者提供

 今回お話しさせていただいた「目に見えない価値」は、一人一人が実践を通して培っていくものであり、言葉だけで伝えるのは難しいのですが、さまざまな記事やイベントを通して、読者の方々に共通点を見つけてもらい、知らないうちに循環につながっていたという「気づき」のきっかけとなれるようなメディアを目指しています。ぜひFLAT.の記事もご覧いただけたらうれしいです。

 FLAT.ホームページ:https://flat-media.net/

 FLAT. Instagram:https://www.instagram.com/flat.media/

 「Social Good Opinion」の<インスタグラムアカウント>を開設しました。そちらも合わせてご覧ください。

松田怜奈

Social Good Nativesメンバー

2000年生まれ。FLAT. 編集長・ライター。高校時代にH.O.P.E.のメンバーとしてエシカル消費の認知度向上に向けて活動し始めたことをきっかけに、エシカルファッション、フェアトレード、オーガニック食品、プラスチックフリーなどの分野においてライフスタイルに取り入れる形で発信している。一般社団法人TSUNAGU、コミュニティ形式エージェントSocial Good Nativesのメンバー。また "身体にも環境にも優しいおやつ"を通して、プラントベースの楽しさや環境への配慮を伝えている。