デジタル田園都市国家構想に本気で取り組め

森永卓郎・経済アナリスト、独協大学教授
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森永卓郎氏=武市公孝撮影
森永卓郎氏=武市公孝撮影

 岸田文雄首相が議長を務める「デジタル田園都市国家構想実現会議」が、11月11日に初会合を開いた。

 会議で首相は、デジタル田園都市を「新しい資本主義実現に向けた成長戦略の最も重要な柱」と位置づけるとともに、「時代を先取るデジタル基盤を公共インフラとして整備し、地方のデジタル実装を支援していく」と強調して、「早期に地方の方々が実感できる成果をあげたい」と話した。

 リモートワークが普及したことや、200社以上の企業が本社を東京から地方に移すなど、デジタル技術の進化は、東京一極集中一辺倒だった日本の経済構造を変化させる兆しをみせている。ここで、デジタル田園都市を作り、日本経済と国民の暮らしの中心を大都市から地方に移すことは、日本にとって最重要の課題だと私は考えている。理由は三つある。

ライフスタイル転換による温暖化対策

 第一は地球温暖化対策だ。イギリスのグラスゴーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、「産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える」という目標実現に向けた努力を追求することで一致した。

 だが、石炭火力の段階的廃止については、石炭火力に大きく依存する米国や中国の強硬な反対で合意が得られなかった。日本も立場は米中と同じだ。日本は石炭火力に電源の32%を依存(2019年度実績)しており、10月に策定したばかりの第6次エネルギー基本計画でも、2030年度の電源構成見通しでは19%が石炭火力発電となっている。

 今の産業用・家庭用の電力需要を賄うためには、どうしても石炭火力発電が欠かせないというのが政府の立場なのだ。同様に安定電源としての原子力発電も、廃止はできないとしている。

 しかし、私は、環境破壊の原因となる石炭火力や原子力に頼らなくても、温室効果ガス排出ゼロは達成可能だと思う。それは、ライフスタイルを変えることだ。

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森永卓郎

経済アナリスト、独協大学教授

1957年生まれ。日本専売公社、経済企画庁、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独協大経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。コメンテーターとしてテレビ番組に多数出演。著書に「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社)など。