社会の中での役割を学ぶ「主権者教育」 義務教育段階から充実を

古賀伸明・元連合会長
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古賀伸明氏=内藤絵美撮影
古賀伸明氏=内藤絵美撮影

 解散から投開票日まで17日間という、戦後最短日程で行われた10月31日の衆議院総選挙。コロナ禍のなかで実施された初の全国規模の国政選挙でもあった。

 政治に緊張感を与えるためには、与党と伯仲する野党勢力の存在が必須であり、与野党伯仲を期待していただけに、残念な結果となった。

争点明確にならず低かった投票率

 任期満了を超えての4年ぶりの衆院選であり、立憲民主党など野党5党が小選挙区で候補者の一本化を進め、与野党の接戦区が増えたことなどから、投票率が上がることも期待した。

 芸能人やインフルエンサーと呼ばれる人による投票を呼びかける動画がインターネットで公開されたり、若い世代を中心に「目指せ!投票率75%プロジェクト」キャンペーン活動などが目立ったが、小選挙区55.93%、比例代表55.92%、戦後3番目に低い結果となった。4回連続で50%台である。

 コロナ禍で政治が生活に直結すると多くの国民が実感したにもかかわらず、投票率が大幅に上がらなかったのは、解散から投開票までの期間が短く、与野党が争点を明確に示せず選択肢が乏しい選挙に、有権者の関心が高まらなかったからだろう。

若いほど低くなる投票率

 自民党は単独で絶対安定多数を維持したが、約56%しか選挙に参加せず、さらにその何分の1かの支持で政権が成立することに、選挙制度の課題もあるとはいえ何か釈然としないものがある。自民党の比例代表の得票数は1991万票に伸ばしたものの、絶対得票率(全有権者に占める割合)は18.9%にとどまっている。

 投票行動は日本社会や生活に関わる自分たちの意志を表す重要な機会だが、国政選挙の投票率は長期的な低迷に加え、年代が若くなるほど低くなる傾向がある。

 若者の政治参加を促す目的で、2016年に選挙権年齢が20歳以上から18歳以上へ引き下げられてから5年経過した衆院選であった。今回の選挙ほど若者と政治の距離が近くなったことは、これまでになかったのではないかと思う。それは新型コロナウイルス感染拡大によって、多くの若者が経済的・社会的に打撃を受けたからだ。

 しかし、5年たっても若年層の政治への無関心が改善しているとは言いがたい結果であった。10代の投票率は43.01%(速報値、総務省による抽出調査)であり、19年参院選の32.28%から10ポイント以上上昇、17年衆院選の40.49%と比較してもやや回復しているが、全体の平均からはまだ遠い。

低い政治への関心

 内閣府が18年に実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」では、政治に関する関心度の質問に、『関心がある』(「非常に関心がある」と「どちらかといえば関心がある」の合計)と答えた割合は43.5%で、5年前調査と比較すると6.6ポイント低くなっている。

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古賀伸明

元連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。