10万円給付の「主たる生計者」と女性の働き方

小宮山洋子・元厚生労働相、ジャーナリスト
  • 文字
  • 印刷
衆院予算委員会で質問に答えるため挙手する岸田文雄首相(右)=国会内で2021年12月13日、竹内幹撮影
衆院予算委員会で質問に答えるため挙手する岸田文雄首相(右)=国会内で2021年12月13日、竹内幹撮影

 18歳以下の子どもを対象とした10万円の給付を巡って、現金かクーポンと分けるのかが議論になっていますが、所得制限のあり方についての議論も、ぜひしてもらいたいと思います。

 世帯のなかで所得の高い「主たる生計者」で制度設計をする時代ではなくなっていることを認識し、共働き世帯が専業主婦世帯の2倍以上になっている現状に基づいた公平な制度にすべきです。与党内でも見直しの動きが出てきたので、早期実現を望みます。

逆転した共働き世帯と専業主婦世帯

 女性の働き方には、多くの解決すべき課題があります。働く女性の半数以上が非正規で働いています(2020年は54.4%、男女共同参画白書)。男女の賃金格差や、パートなどの社会保険(健康保険、厚生年金)加入の拡大、配偶者控除・配偶者特別控除の範囲内での働き方などです。

 10万円給付の所得制限についてですが、現在の「主たる生計者」の年収に基づいた制限ですと、例えば会社員の夫と専業主婦、子ども2人の家族の場合は、夫の年収が960万円以上だと所得制限の対象になり、もらえません。ところが、夫婦共働きで、夫と妻がともに800万円の年収の場合、合算すると1600万円でも、もらえます。誰がみても公平ではないと思います。

 自民党の高市早苗政調会長も、党の会合で、今回の基準のもとになっている児童手当を支給する基準の見直しを検討する考えを表明しています。

 児童手当制度が創設された1972年当時は、夫と専業主婦と子どもという世帯が一般的でした。1980年の統計では、専業主婦世帯は1114万世帯で、共働き世帯の614万世帯を大きく上回っていました(総務省「労働力調査特別調査」)。

 ところが、2020年には、専業主婦世帯は571万世帯に減り、共働き世帯は1240万世帯(総務省「労働力調査」)と、共働き世帯が専業主婦世帯の2倍以上になっています。…

この記事は有料記事です。

残り1534文字(全文2318文字)

小宮山洋子

元厚生労働相、ジャーナリスト

 1948年生まれ。NHKアナウンサー・解説委員を経て、98年参院初当選。2003年衆院初当選。副厚生労働相、厚労相、少子化対策担当相などを歴任。13年に政界引退。