
財政緊縮に向かった財務省
政府は新型コロナウイルス禍で低迷する日本経済を活性化するための経済対策を閣議決定した。財政支出は55.7兆円と、過去最大になったと報じられたが、それはとんでもないまやかしだ。
55.7兆円のうち融資や地方の支出を除いた国費は43.7兆円で、昨年度からの繰り越しなどを除いて、実際に補正予算に計上される経済対策は31.6兆円に過ぎないのだ。
昨年度は、第3次まで3回にわたる補正予算が編成され、その総額は76.8兆円となっている。今年度の補正予算は今回で最後だろうから、補正予算による実質的な経済対策の規模は昨年の58%減というのが、本当の姿なのだ。
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森永卓郎
経済アナリスト、独協大学教授
1957年生まれ。日本専売公社、経済企画庁、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独協大経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。コメンテーターとしてテレビ番組に多数出演。著書に「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社)など。
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