岸田首相は悪人になれるか

亀井静香・元建設相
  • 文字
  • 印刷
亀井静香氏=藤井太郎撮影
亀井静香氏=藤井太郎撮影

善人に政治は向かない

 岸田文雄首相の父、文武氏は同じ広島で、初当選同期(1979年衆院選)だからよく知っている。もっとも同じ広島といっても、俺は備後で、岸田さんは安芸。大分違う。俺とは違って岸田さんは人が良くてスマートだ。穏やかだ。

 でも、岸田さんは努力しているのでしょう。見ていると、近ごろはちょっとすごみが出てきた。すごみとまでいかないか。しかし、表情に迫力が出てきた。

 これはいいことだ。政治は善人がやったってダメだ。政治は悪人がやらないといけない。人が嫌がることもやらないといけない。人が喜ぶことばかりやっていたのでは政治にならない。全体が幸せにならない。

 安倍晋三元首相や麻生太郎前財務相の影響を言う人がいるが、彼らはそれほど強くない。政権に影を落とすほど強くない。マスコミがそういう扱いをしているだけのことだ。院政を敷くほどの自我も野望もない。

日本は獰猛な連中に取り囲まれている

 今、米中が対決している。中国の習近平国家主席は、米国のバイデン大統領と世界を分割する競争をしている。そして中国は「台湾は俺のものだ」と言い出している。韓国は、実際にはそれほどではなくても政治家は「反日」と言わないと持たない国になっている。北朝鮮の問題もある。

 日本は非常に危ない状況になっている。東アジアのなかで孤立していく危険性がある。獰猛(どうもう)な連中に取り囲まれている。

 日本は今まで米国のポチでやってきた。しかし、米国も欧州も自国中心になってきている。世界の国が協力しながらやっていく時代は終わってしまった。自分の国の利益だけを守っていくという時代に変わってしまった。日米安保があっても、米国が日本を守る気などない。日本は中国とどう対峙(たいじ)して、独立と繁栄を守っていけるか。非常に大変な時代になっている。

 その時にヤワい首相では日本は持たない。だから岸田さんも、もっと強くならないといけない。もっと悪の要素が出てこないと、習氏やバイデン氏には対抗できない。

政治というのはわりと簡単

 日本は、米国のおっしゃるとおり、でやってきたから、自分で世界を見る目がなくなった。…

この記事は有料記事です。

残り922文字(全文1809文字)

亀井静香

元建設相

1936年生まれ。62年警察庁入庁。79年衆院初当選。13期。運輸相、建設相、自民党政調会長、金融担当相などを務めた。2017年衆院選に出馬せず引退した。