みな真面目な岸田家の人たち
岸田文雄首相の父の文武氏はよく存じ上げていました。叔父の俊輔氏とも非常に親しくさせていただいています。岸田家は、健全で、いい意味で地味で、普通の家庭です。文武氏も俊輔氏も、そして文雄氏もそうですが、非常に真面目です。人間としては岸田家の人々は非常に好きです。
ただ海千山千がいる、政治の荒波のなかでは、真面目だけでは通らないという問題があります。
岸田首相も努力はしていると思います。安倍晋三元首相と折り合いのよいとはいえない林芳正氏を外相にしたのはいい例です。しかし自民党総裁選で安倍氏が支持した高市早苗氏が政調会長になったように、限界があります。俊輔氏には「文雄氏はもう少し、けんかを売ったほうがいい」と伝えています。
近くに「悪いやつ」がいるか
立憲民主党の枝野幸男前代表もそうだけれども、トップが真面目ならば、近くに悪いやつがいなければなりません。亀井静香元建設相のような人です。しかし、立憲はもちろん、自民党にもそういう「悪いやつ」はいなくなってしまいました。悪いやつが中心に座るのはよくありませんが、しかし政治には必要なのです。
しかし宏池会(岸田派)の政治家はみな真面目です。大平正芳元首相にはいつも近くに座らせてもらって、可愛がってもらいましたが、本当に真面目でした。加藤紘一氏も池田行彦氏も、みな真面目です。
しかし、真面目なだけだと政治はうまくいきません。だから宏池会の政治家は他から人を引っ張ってきて使おうとしますが、限度があります。政治の難しいところです。
岸田氏の弱さ
岸田氏をみていると、やはり弱いと感じます。党内での力が不足しています。「新しい資本主義」もなんなのか、内容がはっきりしません。金融所得課税を強化するならば、それは一つの形ですが、しかし消えてしまいました。…
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