抜け落ちてきた沖縄の暮らしの課題 深刻な子供の貧困

島尻安伊子・元沖縄担当相
  • 文字
  • 印刷
島尻安伊子氏=佐々木順一撮影
島尻安伊子氏=佐々木順一撮影

 今年、沖縄は復帰50年を迎える。あらためて復帰した当時に思いをいたさなければならないと思っている。米国の施政権下で、米軍による事件・事故が続き、祖国復帰が悲願となった。しかし、復帰してもその米軍は残ったままだった。

 そのことへの県民の思いは、世代は変わっても脈々と受け継がれてきたものがある。他方、政府はこの50年間、沖縄振興に力を注いできた。沖縄振興予算だけでこれまで約14兆円が投下されてきた。

 沖縄県民だけでなく、日本国民全員が沖縄の本土復帰50年に思いをめぐらせてほしい。

「基地か経済か」ではない

 基地の負担軽減については、特に安倍政権での菅義偉官房長官が沖縄基地負担軽減担当相として、目に見える負担軽減に尽力していただいた。キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の返還では、跡地に琉球大学医学部・病院が移る予定で、「国際健康医療拠点」としての新しい街づくりが進んでいる。米軍北部訓練場(東村など)も過半が返還され、世界自然遺産への登録も済んだ。

 一方で、アジア太平洋の安全保障における沖縄県の地理的な重要性を考えれば、沖縄の米軍基地がすぐになくなることにはならない。

 しかしこれまでの選挙でたびたび争点になってきた「基地か経済か」あるいは「沖縄の経済は基地に依存している」という考え方はもう古い。私が以前から訴えてきたのは、基地か経済かという二者択一の議論のなかで、暮らしの問題が抜け落ちているということだ。

 道路事業などのハード面での補助率は国が9割、あるいは95%も珍しくない。ところが教育や福祉では全国一律のメニューが多く、県負担が2分の1であったりする。そうなると基本的な財政力に欠ける県では手が出ない。それが積み重なっていつの間にか、教育や福祉の面が取り残されてきた。

 2012年にスタートした現在の改正沖縄振興特別措置法(21年度末期限)ではソフト面を重視し、私が沖縄担当相だった時に「沖縄子供の貧困緊急対策事業」(16年度開始)という取り組みを始めた。そしてこの事業をやればやるほど、沖縄の新たな問題が見えてきた。

本土とは異なる沖縄の貧困問題

 貧困と教育は強い関連がある。たとえば米国の施政権下にあった時に、本土では就学前の幼児教育が2年間あるいは3年間なのに…

この記事は有料記事です。

残り598文字(全文1539文字)

島尻安伊子

元沖縄担当相

 1965年生まれ。那覇市議を経て2007年に参院初当選。自民党女性局長、沖縄担当相、沖縄担当相補佐官などを歴任。21年衆院初当選。参院当選2回、衆院当選1回、衆院沖縄3区。自民党。