韓国の新政権発足を機に関係改善を

河村建夫・元官房長官
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河村建夫氏=前田梨里子撮影
河村建夫氏=前田梨里子撮影

早期に対面会談を行うべきだ

 韓国では3月に大統領選があり、5月に新政権が発足する。このタイミングが日韓関係改善のチャンスだ。

 大統領選で現在有力な与野党の候補は、いずれもこのままの日韓関係で良いとは考えていないと思う。1998年の「日韓共同宣言」の精神に戻るべきだという点では韓国側も一致している。進歩系の政権が続いても、保守系に政権交代をしても、政権発足を契機に動き出すのではないか。

 日本側は、徴用工問題で韓国側が解決策を示さない限り、意味のある会談にはならないとして首脳会談を行ってこなかった。韓国の新政権発足によって、悪化した日韓関係をリセットできるといい。現状を改善しようという思いで向き合う必要がある。

 その頃には、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていると期待しており、対面による外相や首脳の会談をなるべく早く行うべきだ。それが難しいようなら、両国の有識者による会議を設置して、関係改善に向けた話し合いをしておくという手もあるだろう。

大局的だった金大中大統領の国会演説

 両国の関係悪化は長期化している。韓国では反日教育を受けた世代が政権中枢に多い一方、日本の戦後世代はいつまで謝罪をしなければならないのか、と考えている人がいることが背景にある。2015年の慰安婦合意で「最終的かつ不可逆的な解決」と盛り込んだのは、日本側の「これでおしまいにする」という思いが表に出たような格好だった。

 当時首相だった安倍晋三氏は、歴代政権の歴史認識を引き継ぐことは表明したが、自分の口で「申し訳なかった」とは言わなかった。過去の歴史を直視しながらも、将来世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと述べた。日本側としては譲れない文言であり成果だが、これが韓国側にしてみれば本当に謝罪する気があるのか、ととらえられた面がある。

 私が若い議員たちに読むよう薦めているのは、金大中大統領(当時)が98年に来日した際に行った国会演説だ。演説では、「日本は明治維新以降、発展を遂げたが、帝国主義によって韓国を含むアジア諸国に大きな犠牲と苦痛を与えた」と述べたうえで、次に進もうと呼…

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河村建夫

元官房長官

 1942年生まれ。山口県議をへて、90年衆院初当選。文部科学相、官房長官などを歴任した。衆院当選10回。2021年衆院選に出馬せず、引退した。