コロナ禍での年越し支援 生活困窮の「多様化」と「日常化」にどう向き合うか

稲葉剛・立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授
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大人食堂でのお弁当配布=山﨑まどか氏撮影
大人食堂でのお弁当配布=山﨑まどか氏撮影

年越し緊急支援

 新型コロナウイルス禍で迎える2度目の年末年始。今年も全国各地で生活困窮者の「年越し」を支える緊急支援活動が実施された。

 毎年、日雇い等の短期の仕事がなくなる年末年始は、生活に困窮する人が増える傾向にある。そのため、民間の各支援団体はこの時期、集中的な支援活動を実施している。

 今回、東京都内で活動をする各支援団体は、12月29日から1月3日までの6連休の間に支援の空白日が生じないようにするため、事前に活動日を調整して年末年始に臨んだ。

大人食堂

 私が代表を務める「つくろい東京ファンド」は、連携する他の支援団体とともに12月30日と1月3日の2回、東京・四谷の聖イグナチオ教会の施設をお借りして「年越し大人食堂」を開催した。

 「大人食堂」とは、料理研究家の枝元なほみさんが中心となって作るお弁当配布などの食の支援と、生活や医療に関する相談会をセットで開催する企画である。

 このネーミングでの企画は、今回が4回目となったが、この年末年始は2日間で計685人(初日278人、2日目407人)が来場し、来場者数は過去最多となった。2日目に人数が増えたのは、初日の開催に関するニュースをメディア報道やSNSで知り、集まった方が多かったからだと思われる。

多様な利用者

 「大人食堂」の開催当日、私は主に取材に来たメディアへの対応に当たっていたが、「一言で言うと、支援を求めて来られる方にはどんな方がいますか」という記者の質問には正直、ちょっと閉口した。現場には世代や性別、世帯類型を越えて、さまざまな方が集まっており、一言で言うと「多様である」としか言いようがないからだ。

 1日目に来た方の中には、路上生活をしているとおぼしき中高年の男性が多かったが、情報が広がった2日目に来た人の中には、若年や中高年の女性の姿も少なくなかった。また、お子さん連れで来た方もいれば、アルバイトがなくなって年金だけでは生活が苦しいから来たと話す高齢の方もいた。

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稲葉剛

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

 1969年生まれ。一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。14年まで理事長を務める。14年、つくろい東京ファンドを設立。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『コロナ禍の東京を駆ける』(共編著、岩波書店)など。