
総選挙の衝撃的な結果
2022年は政治の転換点となるだろうか。
昨年の総選挙はすでに少ない女性議員をさらに2人減らすという衝撃的な結果を残した。変化を拒む日本の政治を象徴する出来事だった。
各党がこの事態を重く受け止め、今夏の参院選では女性候補者擁立に力を入れるかどうかの正念場を迎える。23年4月には統一地方選が控えている。参院選で機運が高まるのか、それとも逆に失意が広がるのかは地方選にも影響を与えるだろう。
したがって、1月の通常国会から参院選までの間、議会における多様性の欠如がどれだけ問題視されるかは重要な意味を持つ。
実態を伴わない「浸透」
ここ数年間は女性議員を増やそうという議論が高まりを見せていた。18年に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が成立し、候補者擁立の際には男女の数の均等を目指すことを全党が誓った。
3年後の21年には早くも改正され、女性候補者や議員が被ってきたセクハラやマタハラについて、国会・地方議会は義務として、政党は努力義務として、防止策を講じることとなった。これも全会一致で成立している。
しかしながら、政党が本気で女性候補者の発掘に努めてきたとは言えず、総選挙の結果はそうした姿勢を正確に反映したものだった。建前と本音が大きく乖離(かいり)しているのだ。
筆者らが19年に毎日新聞と共同で行った国会議員アンケート調査でも、回答者が適切と考える女性議員比率は平均で43%と高い数値が出た。実態は衆議院で約10%、参議院で約21%(当時)だったことを考えると、随分と高い数値である。これは模範解答として5割と答えるべきだと考えた議員が多いことを示している。
本紙記事によれば、17年と21年の総選挙公示日から投開票日までの期間に「衆院選」と「ジェンダー」の言葉を含む記事は5本から213本へと約43倍に増えていたという。驚異的な変化といえるだろう。
女性議員の数だけではなく、選択的夫婦別姓やLGBT理解増進法案などのジェンダー関連政策が争点となったことを反映している。ここでもまた、意識と実態の乖離が見てとれる。ジェンダー政策への関心は高まっているが、法案はどれも成立していない。
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