寅年に聞く

国際社会の批判を意に介さぬ中国 日本は明確なメッセージを

宇都隆史・参院議員
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宇都隆史氏=須藤孝撮影
宇都隆史氏=須藤孝撮影

 5、6年前までは特に欧州は中国への警戒感が薄かった。第2次安倍政権の発足が2012年12月で、習近平氏が中国国家主席に就任したのが13年3月だ。そのころは豪州も中国よりで、欧州もドイツを中心に中国の経済成長に期待する面が大きかった。米国も関与政策を続けていた。

 19年の香港問題で大きく雰囲気が変わった。中国は変わっていない、天安門事件の時と同じだという認識が国際社会に広がった。コロナ禍でも中国が初動対処を誤って感染を拡大させたにもかかわらず、国際的な検証などにも非協力的だった。さらに、チベットや新疆ウイグル自治区などでの人権侵害がある。この三つのことが世界の中国観を一変させた。

 中国はこれまでは国際社会からの批判を浴びると、一時は行動を抑制してきた。しかし最近はそうしたことを意に介さなくなってきている。

経済で自信をつけた

 中国が国際社会の懸念に全く屈しない姿勢を続けているのは、経済に自信を持っているからだ。08年のリーマン・ショックで世界経済が打撃を受けた時に、世界が中国の経済力に期待し、実際に中国の財政出動によって不況は約1年半で収束した。また、中国は不況からもっとも早く抜け出した。これが中国の自信とナショナリズムの高揚につながったと考えている。

 もちろん、国際的な経済ルールも無視し、企業の透明性や公開性も低いのだが、世界に対して経済で物を言える国になったという自覚がある。中国政府要人だけではなく、一般の中国国民も含めて、自国の持つ力に少し酔っているきらいがあり、それは危険な兆候だ。

 さらに、国連加盟国のなかでは数で言えば中国を支持する国が圧倒的に多いということも影響している。経済的に貧しい国を中心に、「自由と民主主義はいいが、それで飯は食えない」「中国は悪いやつかもしれないけど金をくれる」という思いが根強くある。…

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宇都隆史

参院議員

1974年生まれ。自衛官を経て2010年参院初当選。外務政務官、参院外交防衛委員長、外務副大臣などを歴任。参院比例代表、当選2回。自民党竹下派。