石炭火力依存の日本 いま転換しなければ 時間はない

平田仁子・ 気候ネットワーク理事
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平田仁子氏=内藤絵美撮影
平田仁子氏=内藤絵美撮影

 温室効果ガスの削減には、さまざまな分野での対策が必要だ。しかし、これまで人類が化石燃料をどんどん使ってきたことこそが地球温暖化の最大の要因だ。短期間で脱却を図らなければ問題は解決できない。

 気候変動の危機に向き合うなら、今の日本が石炭火力に大きく依存していようとも、転換がどんなに大変であっても、2030年にはゼロにしなくてはならない。この目標は、そのうちいつか対応すればいいという姿勢では達成できない。今対応を間違えると次はない。今すぐ切り替えていかなれば間に合わない。

COP26で明確になった国際社会の危機感

 先の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)については「遅々として進まなかった」という批判もある。しかし「1・5度目標」(産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える努力を追求する)の明記とともに、「石炭火力発電を段階的に減らしていく」と確認したことは重要な決定だった。国際社会として脱石炭に取り組む明確なシグナルになった。

「2030年石炭火力ゼロ」に選択の余地はない

 日本政府はよく「日本ならではの道を歩む」と言うが、エネルギーについてそれぞれの事情があるのはどの国も同じだ。それでも先進国の多くが30年には石炭火力をゼロにする方針を発表している。気温上昇を1・5度に抑えるには、そうするしか選択の余地がないからだ。すでに国際社会の共通の課題になっている。ところが日本政府には、この課題をやりすごせるかのような空気が漂っている。

 COP26の終盤では、電力の約7割を石炭火力に依存するインドが石炭火力廃止について強く反発した。けれども70年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)を表明した。もちろん70年という目標はまだ不十分なのだが、人口が拡大し、貧困地域が多く残るインドの「カーボンニュートラル」には日本とはまた異なる意味がある。石炭火力の新設をやめていく議論も起きている。カーボンニュートラルを目指すことが、先進国からの資金も呼び込み、経済発展につながるという考えがあるからこその判断だろう。

 その対比でみると日本は、あまりにも変わろうとしない。国際的に決まったことが海を越えて日本の国土には入ってこない。何か見えない壁で遮られて、別世界が存在しているようなところ…

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平田仁子

気候ネットワーク理事

 1996年より米国環境NGOで活動し、98年に「気候ネットワーク」の誕生に参加。千葉商科大学サイエンスアカデミー特別客員准教授。近著に「気候変動と政治」(成文堂)。現在、新法人「ClimateIntegrate」の発足の準備中。2021年に「環境分野のノーベル賞」と呼ばれるゴールドマン環境賞を受賞した。