寅年に聞く

弱い立場の人に寄り添う政治を

石川大我・参院議員
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石川大我氏=伊藤奈々恵撮影
石川大我氏=伊藤奈々恵撮影

 今年、特に力を入れたい課題が二つある。性的少数者(LGBTなど)に対する差別をなくすための立法の実現と、名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマさん事件をはじめ入管に関する課題の解決だ。

LGBTの権利を守る法律を

 私は2019年に「日本にも同性婚を」と訴えて参院選に出馬し、全国に推定1000万人以上いらっしゃるLGBTの皆さんの思いを受け、当選させていただいたと思っている。LGBTに対する差別をなくすことは、一丁目一番地の課題だ。

 昨年「LGBT理解増進法」制定の機運が高まったが、実現できなかったのは非常に残念だった。すでに諸外国ではLGBTへの差別を明確に禁止する法律が制定されている。日本でも各地の自治体で、差別禁止の条例が定められている。にもかかわらず、できなかった。

 LGBTコミュニティーは「差別禁止法」を求め、立憲民主党をはじめ野党は「差別解消法」を提案し、自民党は「理解増進法」を主張してきた。互いに妥協し、私たちもかなり自民党に配慮し、「差別禁止」という言葉の使用を控え、「差別は許されないとの認識の下、施策を進める」という表現を用いた法案がまとまった。

 ところがその文言に自民党の一部議員からクレームがつき、法案を国会に提出することができなかった。「差別は許されないという認識すら、だめなのか」と、多くのみなさんが失望したと思う。

 今回、新たにこうした法案を管轄する内閣委員会に所属することになった。LGBTの権利を守る法律のため、さらに力を尽くしたい。

 法律ができれば、これまではできなかった省庁横断的な施策を進められるようになる。実態調査もできる。また法律の中に「同性愛」(法案では「性的指向」という表現)が盛り込まれれば、それ自体も大きな前進だ。

 議員になる前、省庁に対して「学校教育の中で、LGBTについてとりあつかってほしい」とお願いしたことがある。「性同一性障害はできるけれども、同性愛は難しい」という答えだった。その根拠が法律だった。性同一性障害については「性同一障害に関する特例法」があるが、同性愛についての法律はない。「法律がなく、国民的な議論は済んでいない」と言われたのが忘れられない。

最終ゴールは同性婚

 ただ、最終ゴールはこうした法律ではなく、「同性婚の実現」だと思っている。昨年は札幌地裁で、同性婚を認めないのは違憲だという判決が出た。追い風だと思っている。今年は大阪や東京でも判決が出る見通しであり、注視している。政治もしっかり前に進めていきたい。

 同性婚について代表質問で問われた岸田文雄首相は「家族のありかたの根幹にかかわる問題であり、極めて慎重な検討を必要とする」と答弁したが、大事な問題だと認識しているのなら早く検討を始めるべきだ。改めて問うていきたい。

 同性婚に反対の立場の議員さんもいらっしゃるが、ご一緒する場があれば極力話しかけ、いい人間関係を作れたらと思っている。考えの違うさまざまなグループの代表が政治家であり、自分とは全く考えが違う人たちの代表と、みんなが幸せになれるために話し合いをするのが、政治だと思っている。逆に、自民党の中にも同性婚に賛成されている議員さんもいらっしゃ…

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石川大我

参院議員

1974年生まれ。LGBT支援NPO法人代表、参院議員秘書を経て2011年豊島区議選に初当選。同性愛を公表した議員として知られ、区議を2期務める。19年参院選比例代表で初当選。立憲民主党。