連合は自由で民主的な運動
私が会長に就任してから、連合と共産党との関係についての私の発言がよく報道される。しかし、前会長の神津里季生氏と同じことしか言っておらず、困惑している部分もある。
そもそも連合の労働運動は、自由で民主的な労働運動を強化、拡大していくというところから始まっている。その点で共産とは考え方が違い、相いれない。現実的にも、連合の組合と共産党系の組合は職場、労働運動の現場で日々競合し、しのぎを削っている。
労働組合に関わりのない方々には分かりづらいことかもしれないが、戦後の労働運動や連合が結成に至った経過などを説明すれば理解していただけるはずだ。
立憲が何を目指しているかわかりにくくなった
先の衆院選では、共産が選挙運動の前面に出たことによって、現場によっては選挙対策本部に入ることや、街頭で弁士として並ぶことが難しい事態が起きた。結果として連合の動員力が発揮できないことがあった。
また、立憲と共産の党首会談で「限定的な閣外からの協力」という合意がなされたことで、あたかも立憲が共産とともに政権を担うかのような印象を与えてしまった。
そのこと自体への反発も大きかったが、そのことに注目が集まってしまったことで、立憲という政党自身が何を目指しているか、どういう国や社会を作っていきたいかが、有権者にわかりにくくなった。共産と一緒になって立憲は一体何をやるのか、と受け取られたのではないか。
もちろん、それぞれの候補者が訴える個別の政策はわかりやすく、素晴らしいものだった。しかし、全体像が見えにくくなってしまった。
政党にはそれぞれの国家観、どのような社会を作っていくかという考え方があるはずだ。選挙戦で協力することはあり得るが、基本にはそれぞれの党が自立していることが重要だと考えている。
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