政権交代可能な政治へ--私は必ず実現する

核の傘のもとでも「先制不使用宣言」は可能だ

岡田克也・元副総理
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岡田克也氏=小出洋平撮影
岡田克也氏=小出洋平撮影

核禁条約は批准できない

 米国の核兵器による拡大抑止(核の傘)は今の日本には必要だ。北東アジアでは北朝鮮と中国が核兵器を増強し、また核大国のロシアもある。これらの核の脅威には核をもって対する、つまり米国の核で抑止することは日本の安全にとって必要なことだ。

 そのため、日本は核兵器禁止条約は批准できない。核禁条約は核保有国が参加しておらず実効性が期待できないばかりか、対立を深めることになりかねない。現在の規定では、核禁条約に参加することは核の傘を放棄することになり、これでは日本の安全は確保できない。

オブザーバー参加は必要

 一方で、核禁条約に参加できなくとも締約国会議にはオブザーバーとして参加すべきだ。核兵器の悲惨さについて実際の経験に基づいて話すことができる。締約国会議の場で核の傘の必要性についてもきちんと説明すべきだ。

 ドイツはオブザーバー参加すると表明している。ならば政府の主張する「核保有国と非核保有国との橋渡し」をドイツとともにやればいい。現状では政府の「橋渡し」には内容が全くないどころか、オブザーバー参加さえ否定することで、かえって橋を焼き落としている。

 岸田文雄首相が核軍縮への思いがあるのはわかる。共感するところもある。核禁条約についても安倍晋三元首相のようにはねつけるのではなく、言い方は変わっている。けれどもオブザーバー参加も認めないならば、やっていることは安倍政権の時と変わらない。岸田首相にはもう一度、自分自身でよく考えてみてほしい。

先制不使用宣言は核の傘を弱めない

 バイデン米大統領はオバマ政権で副大統領をしていた際にも、大統領選の際にも、核の先制不使用宣言に何度も言及している。しかし、日本政府は否定も肯定もしていないが、状況証拠からいって、米国に「先制不使用宣言には反対だ」と伝えていると思う。

 けれども、「相手国が核兵器を使っていないのに、日本のために米国が先に核攻撃をする」ような状況はどのような場合にありうるのか。国会でも聞いたが、首相からは全く答えがなかった。私にはどうしても思い浮かばない。日本政府は、米国の先制不使用宣言で核の傘が弱まると考えているのかもしれないが、核は核攻撃を抑止するためにあるのであって、核以外の攻撃を抑止することまで核の傘に期待するのは、非人道的であり、おかしい。

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岡田克也

元副総理

 1953年生まれ。76年通産省入省。90年衆院初当選。民主党代表、外相、副総理、民進党代表を歴任。衆院三重3区、当選11回。「政権交代可能な政治の実現」が信念。外相時代は核密約の解明に取り組んだ。野田政権を副総理として支えた。立憲民主党。