オミクロン第6波の死者数増は「人災」 首相は現実を直視せよ

江田憲司・衆院議員
江田憲司氏=岡本同世撮影
江田憲司氏=岡本同世撮影

増え続ける死者

 新型コロナウイルスのオミクロン株は非常に感染力が強い半面、重症化しにくいと指摘されてきた。岸田文雄首相も、諸外国に比べ、感染状況を低いレベルに抑えることができていると胸を張っている。

 しかし、高齢者にとっては非常にリスクの高い感染症であり、死者が多数出ていることを直視しなければならない。

 1日当たりの死者数は2月22日には322人と過去最多となり、3月に入っても200人を超える日がある。オミクロン株が主流の第6波が始まってから約2カ月間で、既に約3カ月間だった第5波の死者数(2766人)を超え、現在も高止まりが続く。新規感染者数はピークアウトしたという指摘があるが、むしろ状況は深刻化しているのではないか。

 政治は結果責任だ。岸田首相は「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る」というケネディ米大統領の言葉を引用するが、今の政権の対応を見ていると、オミクロンという嵐が来てから、その最中にあわてて屋根を修理しているように見える。

 これでは修理に時間がかかるし、その間に家は水浸しになって多大な損害が出る。そう、対応が後手後手に回り、これだけの死者を出し、救える命を救えなかった。その意味では、岸田首相による人災であり、政治責任と言わざるを得ない。

根本的な失敗

 最も致命的な失敗は、2回目と3回目のワクチン接種の間隔を当初「8カ月以上」としたことだ。…

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衆院議員

1956年生まれ。通商産業省、橋本龍太郎首相秘書官などを経て2002年衆院初当選。みんなの党幹事長、結いの党代表、維新の党代表、民進党代表代行、立憲民主党代表代行などを歴任。衆院神奈川8区、当選7回。