ウクライナ侵攻 野党も現実主義に基づく安全保障の発信を

太栄志・衆院議員
  • 文字
  • 印刷
太栄志氏=野原大輔撮影
太栄志氏=野原大輔撮影

国際秩序の危機と日本の役割

 ロシアによる国際法に違反するウクライナへの軍事侵略により、世界はいま分岐点に立たされている。

 第二次世界大戦以前のように力により領土が拡張される弱肉強食の世界に逆戻りするか、それとも国際法に基づく既存の国際秩序が維持されるかの正念場にある。日本は主要7カ国(G7)をはじめ国際社会と団結してロシアに強力な制裁を科して軍事力による挑戦を阻止し、自由で開かれた国際秩序を断固として守らなければならない。

 いつの時代も戦争で一番苦しむのは無辜(むこ)の市民である。これ以上の犠牲を出さないため直ちに休戦して停戦協議を開始するよう、日本は関係国にあらゆる働き掛けを尽くすべきだ。

 ウクライナ国民の4人に1人にあたる1000万人以上が既に国内外で避難を余儀なくされている(3月20日現在)。難民受け入れに消極的な我が国も「避難民の受け入れ」を表明したが、受け入れ条件をより緩和すべきだ。私の地元である神奈川県大和市はインドシナ難民を2600人規模で受け入れてきた経験があり、ウクライナへの人道支援の機運が高まっている。

米国の影響力低下

 ロシアの侵攻を今回許してしまったことで、米国の影響力の低下は避けられないだろう。確かに北大西洋条約機構(NATO)加盟国でないウクライナへの米国の防衛義務はない。

 だが、ウクライナはソ連崩壊後、核不拡散を条件に米国、英国、ロシアから領土保全と安全保障を約束された経緯がある(ブダペスト覚書)。この約束が果たされず、核兵器を持つ国は制御できないという前例をつくれば、東アジアでも同様の行動を取る国が現れかねない。

 特に中国の武力行使による台湾海峡有事の危険性が指摘されている。「米国は核保有国の軍事攻勢に対して慎重」であることを念頭に、日本は関係国との外交と対話を重ねなければならない。

米国をアジアにつなぎとめる

 米国が世界の警察官の役割を果たさなくなっているため、米国への過度な依存は見直すべきだ。だが、米国のプレゼンスがなければ東アジアの安定はない。日米同盟を深化させ米国をアジアにつなぎ留めることは大事であり、その意味で日本の果たす役割は大きい。

 我が国の外交力と防衛力を抜本的に強化し、アジアでの平和のための新たな国際協力体制を構築していく必要がある。海外情勢が緊迫化する中、日本はゼロベースでの安全保障戦略の立て直しを迫られており、今こそ政治が自らの国を自ら守る覚悟と行動を示すべきだ。

リアルな国際政治に基づく議論を

 危機の今、求められるのは徹底した現実主義だ。野党だからといって現実離れした主張では国民の信頼と安心感を得られない。…

この記事は有料記事です。

残り566文字(全文1663文字)

太栄志

衆院議員

 1977年生まれ。衆院議員秘書、米ハーバード大国際問題研究所研究員などを経て、2021年衆院選で初当選。神奈川13区。立憲民主党。