子どもは大人とは違う
国会議員であると同時に、小児科医として新生児から思春期の子どもの診療を専門にしている。
コロナの第6波から子どもの感染者が増えている。子どもに広がってきたから子どもにワクチンを、となっている。しかし、子どもはさまざまな点で「小型の大人」ではない。
まず日本では感染症対策の基本である検査が不足しているという決定的な問題がある。特に子どもについては検査が行われていない。米国や英国と異なり、学校で定期的な検査を実施する体制がない。その土台のないなか、5~11歳の子どもへのワクチン接種を急ぐことは、その効果を含めて十分に考える必要がある。
わからないことが多い
国も5~11歳のワクチン接種については大人のような「努力義務」ではなく「推奨」としている。各国の対応もさまざまだ。まだわからないことが多いからだ。
米国、カナダ、フランスなどは日本と同様に「推奨」としているが、世界保健機関(WHO)は「基礎疾患があり、重症化する重大なリスクがある小児に対して推奨」としており、英国もドイツも「重症化リスクが高い小児、または免疫不全者と同居している小児は接種可能」とする。日本小児科医会(神川晃会長)は「全員への接種指導は海外での本年齢(5~11歳)における副反応報告の集積を待つものと考える」としている。
感染予防効果が短期間に低下?
米国・ニューヨーク州の保健当局などの研究チームがまとめた報告では、12~17歳の子どもに比べ、5~11歳の子どもにワクチンを接種した場合、感染を防ぐ効果が短期間(約1カ月)で大幅に低下し、12%になるとされている(Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the Emergence of the Omicron Variant)。
11歳以下の場合、12歳以上に比べてワクチンの成分量を減らしていることが原因とみられるが、成分量を減らしているのは副反応の懸念があるためだ。子どもの副反応についてもわからないことが多いため、成分量を増やせばいい、ということにはならない。
また、これまでのワクチンとは違う新しいタイプのコロナワクチンが、成長途上にある子どもの免疫にどんな影響を与えるかもよくわかっていない。免疫への影響は長期に及ぶため、解明はこれからだ。
個人防衛と集団防衛
この20年あまりの予防接種行政の傾向だが、小児科ではワクチンの比重が非常に大きくなっている。しかし、接種する際は誰にとって、何に対して、どのように効果的かを考えなければならない。
昔からワクチン行政には「個人防衛」と「集団防衛」という二つの側面がある。日本は薬害の反省もあり、予防接種法では個人防衛が主な目的と強調してき…
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阿部知子
衆院議員
1948年生まれ。2000年衆院初当選。超党派議連「原発ゼロの会」事務局長、党両院議員総会長。小児科医。国立小児病院、東大病院小児科などで勤務。専門は新生児から思春期までの子どもの診療。「あべともこ こどもクリニック」(神奈川県藤沢市)で理事長も務める。衆院神奈川12区、当選8回。立憲民主党。




