ウクライナ侵攻から中国が得る教訓

古屋圭司・元拉致問題担当相
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古屋圭司氏=藤井太郎撮影
古屋圭司氏=藤井太郎撮影

人の命よりメンツが大事

 ロシアは選挙もあり、一応国民の審判を受けてはいるが、民主主義国家とはとてもいえない。独裁国家であることはまちがいない。そして独裁国家には共通点がある。一つは周囲をイエスマンで固める。もう一つは人の命よりもメンツのほうが大事、ということだ。人権や法の支配などの基本的な価値観は共有していない。そういう国だと思って対応しなければならない。

 ジョージア侵攻も、クリミア侵攻も短期間で終わり、国際社会の批判もあまり続かなかった。ロシアのプーチン大統領にはそれが成功体験になっている。しかもまわりには本当のことを言う人がいない。正しい判断ができなくなっているなかで、今回も短期間でうまくいくと思ったのだろう。

 メンツの点でいえば、ロシア(旧ソ連)の「対独戦勝記念日」は5月9日だ。それまでになんらかの成果を出したいという発想になる。自分の権威を守るために、多少無理でも強引なやり方をする。

 これまでとは異なる事情もある。クリミア侵攻(2014年)から8年がたっている。SNSをはじめとしたネット環境は著しく発展している。ロシアが「ウクライナのゼレンスキー大統領が逃亡した」というフェイクニュースを流したとしても、すぐにゼレンスキー氏自身が自撮り映像を発信する。米宇宙企業スペースXがウクライナで提供を始めた衛星インターネットサービス「スターリンク」のようなものもある。こうした状況はプーチン氏には想定外だっただろう。

中国は注視している

 中国もロシアのやり過ぎに、内心では「まいったな」と思っているかもしれないが、特に軍はロシアとがっちり握っている。現在の国際社会の動きをどう教訓とするか、冷静に、つぶさに見ている。ロシアとウクライナの関係を台湾にあてはめて、綿密にシミュレーションをやっている。

 だからこそ、…

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古屋圭司

元拉致問題担当相

1952年生まれ。90年衆院初当選。国家公安委員長、党選対委員長、衆院議院運営委員長などを歴任。党憲法改正実現本部長、党政調会長代行。日華議員懇談会会長。衆院岐阜5区、当選11回。自民党。