有事に使えない沖縄の基地と米軍の利権

伊波洋一・参院議員
伊波洋一氏=須藤孝撮影
伊波洋一氏=須藤孝撮影

どんなことでもやる日本政府

 日本政府は「日本の安全保障のために沖縄に米軍基地が必要だ」と主張する。しかし、軍事的な意味からも沖縄には米軍基地は必要ない。中国からの中距離ミサイルの射程内に入っており、有事になれば真っ先に攻撃される。有事には「使えない」基地だ。

 そのことは米軍もわかっている。沖縄から米領グアムへという計画もあったが、グアムでもすでに危険だという見方があり、そこで豪州やパラオとの連携が浮上してきている。

 しかし日本政府は米軍基地を維持するためにどんなことでもやり、どんなことにもお金を払う。これが沖縄から基地がなくならない根本的な理由だ。

沖縄に移された基地

 沖縄に米軍基地が集中する出発点はサンフランシスコ講和条約(1952年発効)だ。占領下で米軍による事件事故が多発したため、日本から切り離された沖縄に基地を移した。沖縄では講和条約後に新たに基地拡張のための土地収用が行われている。

 そのなかで県民の基地反対運動があり、その成果が72年の復帰だ。日米両政府が、沖縄の米軍基地への反対を抑えることができないと判断したから復帰が実現した。

 しかし、50年たっても、米軍基地はなくならない。95年の米兵による少女暴行事件をきっかけに、県民の反対運動が盛り上がり、米軍普天間飛行場(宜野湾市)などの返還を決めた96年のSACO(日米特別行動委員会)合意に至った。だが、25年以上たっても普天間飛行場は返還されない。

基地は米国の利権

 たしかに復帰後に返還された基地もある。しかし、米軍は基地を自分たちの利権だと考えている。米本土のような規制もなく、お金をいくらでももらえる。見返りなく返すことはない。必…

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参院議員

1952年生まれ。沖縄県議、宜野湾市長を経て2016年参院初当選。参院沖縄、当選1回。