「犯罪者を雇うのか」 不起訴になって感じた報道と捜査の問題点

香山リカ・精神科医
香山リカ氏=平野幸久撮影
香山リカ氏=平野幸久撮影

 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を主導した会の会長である著名な医師に刑事告発され、警察が検察に書類を送り、不起訴処分(容疑不十分)となった。

 告発は受理されれば全件が検察に書類が送られる。私の場合は警察が書類を送る際に起訴を求める意見を付けず、当初から不起訴となる見込みだった。書類を送られた時点でそのように報道もされた。

 にもかかわらず、勤務先には「犯罪者を雇うのか」などの嫌がらせの電話がかかり、決定していたテレビ出演や講演などのキャンセルがいくつもあった。負担感は大きく、実害もあった。

署名偽造事件と一緒なのか

 昨年9月に検察に書類が送られた際に取材を受けてコメントを求められ、「すべて送られるものなのにコメントが必要ですか」と問い返したが、「手続きの節目なので」という答えだった。「不起訴になったら取材します」とも言っていたが、不起訴になった時にはその記者からの取材はなかった。

 テレビの出演キャンセルも「香山さんを疑うわけではないが、規定として送検された方の出演はできない」と説明された。

 今年3月に不起訴になった際の手順や報道にも疑問がある。リコール運動の署名偽造事件の関係者の不起訴と同時に報道された。検察からの連絡はなく報道で初めて知ったが、署名偽造事件の記事だと思って読んでいたら、突然自分の名前が出てきた。同じ記事で書かれるのか、と驚いた。

 署名偽造事件と、私への刑事告発は全く別の問題なのに、同時に報道され、あたかも検察が両側のバランスをとったかのような印象を与えた。署名偽造事件と一緒にくくられることには非常に疑問がある。

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精神科医

1960年北海道生まれ。東京医科大卒。専門は精神病理学。医師の立場から現代人の心の問題について発言を続ける。北海道むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長。