まだ少ない女性候補者 クオータ制導入は世界の潮流

小宮山洋子・元厚生労働相、ジャーナリスト
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クオータ制を推進する会の院内集会で発言する赤松良子代表(奥中央)=参院議員会館で2022年3月8日、竹内幹撮影
クオータ制を推進する会の院内集会で発言する赤松良子代表(奥中央)=参院議員会館で2022年3月8日、竹内幹撮影

 参院選の公示が6月22日、投開票日が7月10日と迫ってきています。

 「候補者男女均等法」とも呼ばれる、政治分野における男女共同参画推進法の施行(2018年5月)後に行われた昨年の衆院選では、女性議員が増えることが期待されましたが、女性候補者が2割に満たなかったこともあり、女性議員の割合は9.9%から9.7%へと、かえって減ってしまいました。

強いクオータ制の導入が必要

 参院選の女性候補の擁立もなかなか進んでいないようです。5月30日現在で、各党の女性候補者数と割合は、自民党が15人(19.2%)、公明党が2人(14.3%)、立憲民主党が20人(46.5%)、日本維新の会が15人(34.1%)、共産党が27人(51.9%)、国民民主党が8人(44.4%)となっています。

 女性議員を抜本的に増やすには、もっと強い形でのクオータ制(割当制)の導入が必要ではないかと考えています。

 日本では、男女の格差がなかなか縮まらず、世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ(男女格差)指数」では日本の順位は156カ国中120位(2021年3月31日公表)でした。

 日本も男女の格差是正に努力はしていると思いますが、各国の格差が是正されるスピードに比べると遅すぎることが順位が上がらない原因になっています。政治、経済、教育、健康の4分野で評価していますが、一番低く、足を引っ張っているのが政治分野です。女性議員が少ないこと、女性首相も過去にいないことなどから、政治分野での日本の順位は156カ国中147位(21年)です。

 「候補者男女均等法」は議員立法として全会一致で成立しました。政党・政治団体は男女の候補者数の目標設定などに「自主的に取り組むよう努める」と規定しています。国や自治体にも、候補者の男女均等に向けた実態調査、啓発活動などの施策に取り組むよう求めました。ただ、いずれも努力義務規定にとどまり、罰則はありません。

 この法律は、21年6月にセクハラやマタハラ(妊娠や出産をめぐる嫌がらせ)が女性の立候補を妨げる原因になっているとして、これらの防止策を政党や国、自治体に求めることを新たに加えて改正されています。

各党も目標は掲げている

 参院選では、各党が候補者の女性比率の目標を掲げてはいます。自民は比例代表の候補者のうち約3割を女性にする考えを示しています。立憲民主は女性候補の割合を全体の5割、国民民主は35%、共産は5割にする目標を掲げています。

 自民の女性候補の割合が低いのは、これまでの参院選で安定して勝利を重ねてきたため、現職の男性議員が多く、現職が引退しなければ、選挙区で女性候補を擁立することが難しいから、と言われています。

 世界では多くの国がクオータ制をとっています。世界全体で、129カ国・地域が導入(国のみだと118カ国)しています。(民主主義・選挙支援国際研究所<IDEA>による)

 クオータ制の種類は、①憲法または法律のいずれかによる議席クオータ制②憲法または法律のいずれかによる法的候補者クオータ制③政党による自発的なクオータ制の三つにわけられます。①の国は、台湾、イラク、アフガニスタン、コソボなど23カ国。②の国は、ベルギー、アイルランド、コンゴ共和国、ドミニカ共和国など40カ国。③の国は、ドイツ、ノルウェー、マラウイ、グアテマラなど23カ国。あとの55カ国は、①②③の組み合わせをとっています。(IDEAジェンダークオータ・データベース、IPUウェブサイトによる。制度を併用している国があるため、合計は118カ国にならない)

男女格差が少ない国は女性が首相

 ジェンダーギャップ指数で男女格差が少ない1~5位の国を見ていくと、そのうち4カ国で女性が首相を務めています。1位のアイスランドは、女性のカトリン・ヤコブスドッティル首相で、40%のクオータ制です。父親の育児休業取得率が7割以上で、男女同一賃金です。

 2位のフィンランドは、女性のサンナ・マリン首相です。3位のノルウェーの首相は男性です。4位のニュージーランドは、女性のジャシンダ・アーダン首相で、コロナへの対応の説明が国民にわかりすいと話題になりました。5位のスウェーデンは、女性のマグダレナ・アンデション首相です。

 クオータ制が実効性をあげている国は、比例代表選挙を採用している国が多くなっています。日本は、小選挙区と比例代表で、小選挙区ではクオータ制が入れにくいということがあるかと思います。衆院と参院の選挙制度のあり方自体を考え直す必要があるかもしれません。

 女性議員を増やすことがなぜ必要か。男女が半々ぐらいずつ(実際には、平均寿命が長いことなどから女性のほうがやや多い)暮らしているのですから、半々で当たり前、ということもいえます。日本は、世界で一番の超少子高齢社会なのですから、子育てや介護の政策の充実は喫緊の課題で、これまで主に担ってきた女性が政策を作ることが必要です。

 さまざまなことで閉塞(へいそく)状況の日本にとって、多様な価値観の人がいる国会であることは、男性にとってもよい社会を作ることになると思います。どれだけの女性候補を立てられるかを選挙の際の判断基準のひとつにしたいと思っています。

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小宮山洋子

元厚生労働相、ジャーナリスト

 1948年生まれ。NHKアナウンサー・解説委員を経て、98年参院初当選。2003年衆院初当選。副厚生労働相、厚労相、少子化対策担当相などを歴任。13年に政界引退。