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「危険な軍拡の道」 共産 志位和夫委員長 参院選公示第一声 詳報

参院選が公示され、第一声を上げる共産党の志位和夫委員長=東京都新宿区で2022年6月22日、前田梨里子撮影
参院選が公示され、第一声を上げる共産党の志位和夫委員長=東京都新宿区で2022年6月22日、前田梨里子撮影

軍拡批判

 この参院選は戦争か平和か日本の命運がかかった選挙だ。ロシアの蛮行に乗じて岸田自公政権と維新の会などは敵基地攻撃、軍事費2倍、9条かえろという大合唱をしている。しかし皆さん、軍拡で平和が守れるでしょうか。日本が軍拡で構えれば相手も軍拡を加速する。軍事対軍事の悪循環に陥ってしまいます。この道が一番危険ではないでしょうか。

 軍事費2倍と言うが、財源をどうするんでしょうか。自民党はGDP(国内総生産)比2%以上を公約にしながら、財源のことは公約に一言も書いていない。しかし、2%といったら5兆円の軍事費を増やすことになる。消費税で賄えば2%以上の増税になります。医療費負担に押しつければ、窓口負担が2倍になってしまう。現役世代は3割ですから、6割負担になってしまいます。年金にしわ寄せするならば、年12万円も年金が減ってしまう。

 昨日の党首討論会で、岸田さんに財源をどうするかを隠しておいて選挙が終わったらフリーハンドで決めるのはあまりにも不誠実だ、と質した。岸田首相はまったく答弁がありません。結局、国民の皆さんに白紙委任状をくれ、という話じゃないか。

 しかし、消費増税や社会保障削減の白紙委任状を自民党に渡すわけにはいかないじゃないですか。

 危機に乗じて憲法9条を改正し、日本を軍事対軍事の危険な道に追い込み、暮らしを押しつぶす、こんな道は日本共産党への一票で止めようじゃありませんか。

平和外交、核禁条約

 日本が進むべき道はそんな道じゃない。日本が憲法9条を生かして、二つの平和のイニシアチブを発揮することを訴えたい。

 第一は、東アジアに平和をつくる外交戦略をうちたてることだ。

 平和とは何でしょうか。私は平和は対話だと思う。話し合いだと思う。これがとぎれたところで戦争が起きるんじゃないでしょうか。対話の努力を徹底的に行って、東南アジアを平和の地域にしたのがASEAN(東南アジア諸国連合)の取り組みだ。ASEANは今、ASEAN10カ国と日本、米国、中国など8カ国で作る東アジアサミットを平和な枠組みとして強化して、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しよう、こういう大構想を提唱している。これ良いじゃないですか。

 日本共産党は、今日本が進むべきは敵基地攻撃なんて物騒な道じゃない、ASEANと協力して東アジアを戦争の心配のない、平和な地域にするための、9条を生かした平和外交だと訴えたいと思う。

 日本共産党はこうした方向を外交ビジョンとして提案してきたが、注目と共感が広がっている。戦争をさせないリアルな外交努力、日本共産党への一票でこの力を大きくしようじゃありませんか。

 第二の呼びかけは、日本が核兵器禁止条約に参加することだ。ウィーンで初めての締約国会議が開かれている。

 この会議にはアメリカの同盟国からも、ドイツ、ノルウェー、ベルギー、オランダ、オーストラリアなどが参加しているんです。日本の不在が大きな批判になっている。橋渡しといいながらなぜ出てこないのか。それが問われるのではありませんか。

 その根底には核抑止という考えがある。核の抑止は、いざというときは核兵器を使う、いざというときには広島、長崎のような非人道的惨禍をひきおこすこともためらわないという議論だ。唯一の戦争被爆国の政府がこんな議論を唱えていることは、恥ずかしいことではないでしょうか。

 私は日本政府に核抑止の呪縛を断ち切って、核兵器禁止条約に参加することを強く求めたい。参加できないというなら、国民の力で参加できる政府をつくろうじゃありませんか。

 そしてこの問題、もう一点言いたいのは維新の会です。今回の党首討論、毎回のように維新の代表が述べたのは、核の共有をやろう、この議論をやろうということだった。しかし、この議論は日本被団協、被爆者の団体が日本国民を核戦争に導く、命を奪い、国土が廃墟と化す危険な提案として撤回を求めているんです。被爆者のこの声が聞こえないのか、と私は言いたい。このような亡国の政治をやろうという勢力に日本の政治を任せるわけにはいかない。このことも訴えたい。

 世界の誇る憲法9条を将来にわたり守り生かそう、この平和の願いは、党を作って100年。反戦平和を貫いてきた日本共産党への一票にどうか託してください。

物価高騰

 物価高騰から国民の暮らしをどう守るかも、大争点です。なぜ今高騰しているんでしょうか。討論会で岸田(文雄)首相はロシアによる物価高騰だと言って、物価高騰の原因をもっぱらロシアに押しつけている。しかし、もう一つ重大な原因がある。アベノミクスが進めた異次元の金融緩和が、異常円安をつくり物価高騰を招いている。その責任は重大ではないでしょうか。

 私は今求められてるのは、こうした金融頼みの政策はやめて、実体経済を良くする、これを政策の中心に据えた経済政策への転換だということを訴えたい。

 実体経済が傷んでいるんです。物価高騰で、どうしてこうも暮らしが苦しいか。賃金が上がっていないからじゃないですか。年金が減り続けているからじゃないですか。教育費が重すぎるからじゃないですか。消費税の連続増税で家計が傷んでるかじゃないですか?

消費税減税

 弱肉強食と自己責任を押しつけてきた新自由主義によって日本の経済が冷たく弱い経済になってしまって、これが、国民の生活の苦しさのおおもとにあると思います。ですから、日本共産党は訴えたい。新自由主義はもうやめにして、優しく強い経済へのチェンジを図ろうではありませんか。

 具体的に5つ提案をいたします。

 第一の提案は消費税を5%に減税し、インボイスを中止することだ。この問題は党首討論でも議論になりました。岸田首相は一生懸命、消費税減税ができない理由をあげるんですね。そこで私、その場で批判もいたしましたが、どれも成り立たないんです。例えば、消費税は社会保障のため。これを繰り返します。しかし、消費税導入から33年、消費税のおかげで良くなったなと言える福祉は一つでもありますか?

 社会保障は切り下げに続く切り下げじゃないですか。お金どこに行ってしまったのか、大企業と富裕層の減税の穴埋めに消えてしまった、これが真実ではないですか?

 岸田首相は消費税を下げるにはシステムを変更する、これが大変だ、と言います。しかし、皆さん、そんなことないですよ。新しい税金作るって話じゃないんです。税率を5に下げるだけの話だ。だいたい5から10に上げたんですから、下げることができない道理があるわけないじゃないですか。

 世界では91の国と地域が減税をやってるんですから、日本だけできない理由はどこにもないことを言いたい。ですから、消費税減税を拒む理由は全部崩れちゃったんです。でもやろうとしない。だったら選挙で審判下そうじゃありませんか。消費税導入から33年、一貫して消費税反対を貫いてきた日本共産党への一票で消費税減税、実行しようじゃありませんか。

賃上げ

 第二の提案は、政治の責任で賃金の上がる国を作ろうということだ。この問題も党首討論で議論になり、どうやって賃上げをするのか、各党が問われました。

 岸田首相、具体策が一つもないんです。彼が繰り返したのは、今年の春、賃金が2%上がっています。冗談じゃないですよ。2%を越える物価が上がっているじゃないですか。実質賃金は4月、1・4%マイナスじゃないですか。庶民の苦しみが目に入らない。私はここに岸田首相の政治姿勢の一番の問題があると言わなければなりません。

 日本共産党はアベノミクスで膨れ上がった大企業の内部留保に時限的な課税を行います。毎年2%、5年間で10兆円の課税を行う。そういうことによって賃上げを促進する。これ実は二重に賃上げの促進になるんです。

 一つは賃金の底上げです。10兆円税収ができるから、何に使うか。最低賃金を1500円に引き上げるための中小企業支援にあてたい。これは日本共産党の提案であります。1500円といいますと、1日8時間働いて、週休二日で手取り20万円になります。このぐらいは政治の責任でやって当たり前じゃないですか。フランスやイギリスではもう1500円超えてます。ドイツは10月から1600円を超えます。アメリカもバイデン大統領が2000円という引き上げ目標を呼びかけています。皆さん、1500円、みんなの力で共産党を伸ばして実行しようじゃありませんか。

 もう一つあるんですよ。この提案は大企業で働く方の賃上げも促進するんです。この提案は、企業が賃上げとグリーン投資にお金を使った場合には課税から控除する。ですから課税することで、賃上げと脱炭素が進むことになる。ですから、中小企業で働く方も大企業で働く方も賃上げが進むというのが日本共産党の提案ですが、どうでしょうか。

 昨日の党首討論でこの問題を提案した。内部留保というのは、人間の体で例えると、脂肪のようなものだ。脂肪は大切なエネルギー源だが、脂肪がたまりすぎますと、代謝が悪くなって色々な生活習慣病になりますよね。ですから、私たちの提案っていうのは、たまりすぎた脂肪を政治の力で絞って、そしてこの脂肪を燃やしてこのエネルギーで日本経済の好循環を作ろう。こういうものなんです。

 岸田さんにどうですか、これ採用してください、と提起したが、岸田さんは二重課税になると言って、背を向けます。しかし、私たちの提案は、減税をやり過ぎたからその一部を返してもらおうという話であって、二重課税にはあたりません。だいたい皆さん、二重課税って言うんだったら、所得税、住民税払った上でに消費税を払っている、これこそ最悪の二重課税ではないですか。これもやらない理由は成り立たなくなった。ですから、共産党の躍進で実行しようじゃありませんか。

社会保障、教育

 第三の提案は社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実させようという提案なんです。6月から年金支給が0.4%削減されました。大問題になってます。 2016年に安倍政権が作った年金削減の仕組みが働いてるんです。ところが、党首討論で、私が驚いたのは、この議論になると岸田首相はこう言いました、これは制度上想定されたものです、なんとも冷たい話じゃないですか?  想定内だと言うんです。あまりにも痛みを知らない発言じゃないですか?

 仮に制度がそうだったとしても、物価がこれだけ上がっているんですから、制度を変えても年金を上げるのが当たり前の政治じゃないでしょうか。今からでも年金削減をストップし、年金の底上げをはかり、 75歳以上の高齢者からの医療費の2倍化を止めようじゃありませんか。

 教育の無償化に踏み出します。高すぎる大学の学費を半分にし、入学金という非合理な制度はなくします。

 給付奨学金を抜本的に充実させていきます。そしてもうひとつ、小中学校の給食費が高すぎます。23区で言うと、子どもさんがお二人いらっしゃったら月に1万円が出てしまいます。

 しかし、憲法26条にはなんて書いてあるか。義務教育はこれを無償とすると書いてあるじゃないですか? 憲法26条どおりに学校の給食は国の制度として無償にしようではありませんか。

 社会保障と教育にお金はあてることは経済にとって足かせにならない。家計を支え、新たな雇用を生み出し投資を生みますから、経済の成長にとっても健全な成長を促すのがこの道だと思います。この道を日本共産党と一緒に進もうじゃありませんか。

再生エネルギー

 第四の提案は気候危機への本気の取り組みを行うことです。日本のエネルギー自給率はたったの10%なんです。先進国OECD(経済協力開発機構)36のうち、35位なんです。原油価格の高騰はエネルギーを外国頼みにしていることを示したんじゃないでしょうか。国産のエネルギーと言ったら日本に豊かにあるじゃないですか。再生可能エネルギー、100%国産じゃないですか。今こそこの大規模普及に力を尽くすべきじゃないでしょうか。

 ところが皆さん、今、維新の会を先頭にして、原発再稼働進め進め、この声が起こっております。

 私、昨日の討論会でも述べたが、福島を忘れたのか? こう言いたいですよ。福島ではまだ事故は終わってないんです。多くの方々が、ふるさとを離れて、苦しい避難を余儀なくされているんです。汚染水も増加が止まっていないんです。福島を忘れたかのように原発再稼働、とんでもないことではないでしょうか?

 原発頼みを続けていては、再生可能エネルギーも進みませんよね。原発即時ゼロ、この政治決断をやる、石灰化力からの撤退の決断をやる、これをやってこそ再生可能エネルギー、大きく進むんじゃないでしょうか。どうかこの一票は日本共産党に託してください、どうかよろしくお願いいたします。

ジェンダー平等

 最後は、ジェンダー平等の日本を作ろう。共産党はこの間、男女の賃金格差がひどすぎる。生涯賃金で1億円もの格差がある、これをなくそうと訴えてきた。その方法は、企業に公開を義務付ける、このことをずっと訴えてきた。

 その中で5月、とうとう岸田首相も企業に公開を義務づけることをようやく明らかにした。皆さんの声が一歩政治を動かしました。しかし、これから先が大事ですからね。公開をしっかりやらせる。そして、格差是正計画を企業に作らせる。それを国が監督、奨励するしくみをつくる。こういうことを全部やりきって、ほんとうに格差のない社会を作るまで頑張りぬきたい。この決意を申し上げたい。

 格差をなくす上でも、昨日の討論会でも問題になったんですが、ケア労働者の賃上げが必要です。この前の総選挙で、岸田さんは思いきった賃上げをすると言ったんですが、保育や介護で働く方々の賃上げ、わずか9000円。一ケタ違うという怒りが起こっています。全産業平均との差が8万円あるんです。8万円あげるのが当たり前じゃないですか? 皆さん、男女の賃金格差ゼロの日本にしてこそ、ジェンダー平等の日本の土台が作れると思う。一緒にこの道を進もうではありませんか。

結党から100年

 みなさん、優しく強い経済をつくる5つの提案、いかがでしょうか。

 どれも当たり前の提案ですよね。でも、これを本気でやろうとしたら、財界や大企業の抵抗にぶつかります。財界献金をもらっているところにはできない。一切受け取ってこなかった日本共産党を伸ばすことが暮らしをよくする一番の力になります。どうかみなさんよろしくお願いします。

 最後に皆さん、日本共産党は党をつくって100年になる。戦前戦後、一つの名前、日本共産党という名前でやってきた政党は日本に一つしかないんです。それには理由がある。戦前、侵略戦争が進み、日本共産党以外の全部の党が解党して大政翼賛会に合流して侵略戦争に参加した。だから戦後、同じ名前で出てこれなくなった。日本共産党は命がけで侵略戦争に反対して戦い抜いた。そのために、小林多喜二、野呂栄太郎、伊藤千代子など素晴らしい先輩が命を落とした。しかし、この道こそ正しかったことは日本国憲法が証明したのではないでしょうか。

 皆さん、今また、戦前を思わせる平和を壊す翼賛政治の危険を感じます。一連の討論会に出まして、危機に乗じた大軍拡の流れに多くの政党が飲み込まれている。これに危機感を覚える。

 日本共産党は100年の歴史に立って、こうした逆流には正面から立ち向かうことをここで固くお約束します。日本共産党の躍進こそ、平和と暮らしを救う最も確かな力になります。(東京・新宿、要旨)

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