基礎からわかる参院選

勝敗が入れ替わる「参院選1人区」

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参院選が公示され、候補者らの演説を聞く有権者ら=東京都新宿区で2022年6月22日、小出洋平撮影
参院選が公示され、候補者らの演説を聞く有権者ら=東京都新宿区で2022年6月22日、小出洋平撮影

 参院選のニュースで「1人区」という言葉をよく聞きます。当選する候補が1人(改選数1)の選挙区(現在は32選挙区)のことです。この選挙区が注目されるのは参院選全体の勝敗のカギを握っているからです。

複数区では差がつきにくい

 参院選では改選数1の選挙区から、改選数6(東京選挙区)まであります。しかし、一つの選挙区で複数の候補が当選する選挙区では、与野党が議席を分け合うことが多いため、与野党の差がつきにくいのです。もちろん、たとえば改選数2の選挙区に2議席を独占しようと一つの党が候補を2人立てる場合はあります。しかし、独占はなかなか難しいのが実態です。

独占を試みて失敗

 買収事件が起きた前回(2019年)の参院広島選挙区(改選数2)では、自民党が独占を狙って公認候補を2人擁立しましたが、トップ当選したのは野党系無所属議員で、自民党候補は1人しか当選せず(もう1人の自民党候補は3位で次点)、独占に失敗しました。買収事件の背景には自民党候補同士の激しい争いがあったとも指摘されています。

 その点、1人区は通常、与野党双方が候補を立て、当選するのは1人だけですから、差がはっきりします。結果的ではありますが、1人区の勝敗が参院選全体の勝敗にも大きく影響するのです。

1人区で大敗すると

 わかりやすい例は第1次安倍内閣時に行われた07年の参院選です。当時29あった1人区で、政権与党だった自民党の候補が当選したのは6選挙区だけでした。参院選は自民党が敗北し、当時の安倍晋三首相はやがて退陣に追い込まれることになります。このことが09年の民主党政権への交代につながっていきます。

 逆に12年に民主党政権が終わった後の13年の参院選では、当時31あった1人区で自民党候補が29選挙区で勝利しました。参院議員の任期は6年ですから、07年に当選した野党議員の議席の多くが自民党の議席に切り替わったことになります。1人区の勝敗はその時の与野党の力関係がより鮮明に表れるのです。

1人区が…

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