基礎からわかる参院選

最大の「政治勢力」高齢者が与える影響

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グータッチで支持を求める候補者(右)=大分市内で2022年7月3日、津島史人撮影
グータッチで支持を求める候補者(右)=大分市内で2022年7月3日、津島史人撮影

 総務省の調査(抽出調査)で昨年の衆院選(投票率55.93%)の年代別の投票率をみると10歳代が43.21%、20歳代が36.50%となっています。

 これに対して30歳代は47.12%、40歳代は55.56%、50歳代は62.96%です。60歳代は71.43%、70歳代以上は61.96%でした。

 「若者は政治に関心を持たなければ……」などと言われますが、若者と高齢者の投票率に大きな差があることは日本の政治のあり方を決める大きな要因になっています。

政治家は高齢者を向いている

 日本は65歳以上の高齢者が全人口の3割に近づいています(2021年10月現在で28.9%)。もともと多いうえに投票率が高いため、政治に与える影響は甚大です。よく組織・団体票や業界政治が批判されますが、高齢者は日本の政治では最大、最強の勢力です。

 高齢者は年金受給者であり、医療、介護などの社会保障の受益者でもあります。政治に関心が高くなるのは自然なことです。政党も、候補者も、票田である高齢者向けの政策を重視します。与党が今春、年金受給者に一律5000円を給付する提案をした際に、「選挙目当て」と批判されたのはこのためです。

社会保障給付費にGDP比20%以上

 19年度の社会保障給付費(ILO=国際労働機関=基準)の国内総生産(GDP)比は22.14%です。一方、子育て世帯向けの公的支出は19年度でGDP比1・73%(OECD=経済協力開発機構=基準)で、OECD平均を下回っています。

 防衛費のGDP比2%が議論になり、北大西洋条約機構(NATO)は加盟国に2%以上の水準を求めています。しかし、英独仏の子育て世帯向けの公的支出はいずれもGDP比3%を超えています(17年度、OECD調べ)。

 仮に今後、防衛費だけをGDP比2%に引き上げると、日本は子育て世帯向けの支出より防衛費が多い国になってしまいます。

 世界でも有数の超高齢化社会であることが、日本の政治を規定していることがよくわかります。若者の低投票率、高齢者の高投票率はこの構造を強化、固定する方向に働きます。

高齢者自身のためにも

 医療、介護などを含み、生活保障の意味もある社会保障給付費はその性格上、削減が難しい…

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