女性議員 遠い「3割」 クオータ制導入国から学ぶ

小宮山洋子・元厚生労働相、ジャーナリスト
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街頭演説する女性候補者=宇都宮市で2022年6月26日、鴨田玲奈撮影
街頭演説する女性候補者=宇都宮市で2022年6月26日、鴨田玲奈撮影

女性当選者最多は一歩前進

 7月10日投開票の第26回参院選は、自民党が大勝しました。私が注目したのは、女性議員が増えるかと、若い議員がどれだけ誕生するかでした。

 女性の立候補者は過去最多の181人で、全候補者545人に占める比率も33.2%と初めて3割を超えました。政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)の成立(2018年)を背景に、各党が女性擁立を進めました。

 女性の当選者は過去最多の35人になりました。参院の改選議席125議席のうち28.0%です。一方で、女性の全候補者のうち当選者の比率は19.3%で、男性の24.7%より低くなっています。参院全体では定数248議席に対して女性議員は64人、25.8%になりました。

 世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ(男女格差)指数」では、日本の順位は146カ国中116位(22年7月13日公表)でした。なかでも政治分野は、女性議員が少ないことなどから日本は139位でした。

 列国議会同盟(IPU)の調べでは、女性議員の割合(各国の第1院で比較していて、日本は衆院)では、日本は185カ国中163位(9・9%、22年7月時点https://data.ipu.org/women-ranking?month=7&year=2022)です。

 候補者男女均等法の施行後初の総選挙となった21年衆院選では、女性候補者が2割に満たなかったこともあり、女性議員の割合はかえって減ってしまいました。それに比べると、今回の参院選で女性の当選者が過去最多になったことは、一歩前進といえます。

割り当て制導入で進む

 女性議員の比率を高めるには、クオータ(割り当て)制を導入している諸外国から学ぶ必要があります。クオータ制はノルウェー発祥です。1974年に政党レベルで自主的に導入が決まり、一般企業にも普及しています。フランスではクオータ制の法律が成立した00年に12%台だった女性議員(下院)の割合が、20年には約4割になっています。韓国も00年に導入し、当時5.9%だった女性議員(1院制)の割合が、20年には17.3%になっています。

 他の導入国では、ルワンダ(下院)は61.3%、メキシコ(下院)は48.2%、フィンランド(女性のサンナ・マリン首相)は47.0%、ドイツ(1院制)は31.2%(女性のアンゲラ・メルケル首相=当時)(20年1月 内閣府資料https://www.gender.go.jp/policy/seijibunya/pdf/pamphlet.pdf)など、女性議員の比率が高くなっています。

社会が変わる

 女性議員が増えると、何が変わるのか。男女平等の意識が高まり、特に育児の分野などで社会が変わるということです。

 ノルウェーでは、男女平等を意識した育児休業制度が導入されています。93年に「父親割り当て(パパ・クオータ)制度」が始まり、育休のうち父親しか取れない期間が設定されています。

 こうした制度は、幼い頃から積極的に父親が育児に関わっている姿が、男女平等教育の上で大切だと考えられていることや、両親とも子育ての幸せを味わうことができるように、ということで実施されています。

 超少子高齢社会の日本では、子育てや介護を男女で担うこと、そのための仕組み作りは緊急の課題です。また、人口が減ることは生産年齢人口(15~64歳)も減ることなので、男女の賃金格差をなくし平等に働ける仕組みづくりも必要です。

 今回の参院選では、残念ながらあまり取り上げられませんでしたが、課題となっている選択的夫婦別姓については、女性が姓を変えることが圧倒的に多いので、取り組みが進むことを願います。女性議員の数が増えることによって、女性も男性も、また年齢にかかわらず、生きやすい社会になることを願っています。

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小宮山洋子

元厚生労働相、ジャーナリスト

 1948年生まれ。NHKアナウンサー・解説委員を経て、98年参院初当選。2003年衆院初当選。副厚生労働相、厚労相、少子化対策担当相などを歴任。13年に政界引退。