ポピュリズムが支持される理由

水島治郎・千葉大教授
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参院選が公示され街頭演説で拳を掲げる有権者ら=大阪府豊中市で2022年6月22日、大西岳彦撮影(画像の一部を加工しています)
参院選が公示され街頭演説で拳を掲げる有権者ら=大阪府豊中市で2022年6月22日、大西岳彦撮影(画像の一部を加工しています)

小政党が議席を得やすい参院選

 7月10日投開票の参院選は与党が大勝した一方、小政党も議席を確保もしくは拡大した。参院選の比例代表では、おおよそ得票率2%で1議席を獲得し、公選法上の政党要件を満たすことができる。小選挙区や中選挙区で議席確保が難しい小政党にとって、比例代表は有利な制度だ。

 左右を問わず急進的主張を掲げる政党でも、既成政党のように組織を頼らずに、SNSなどを駆使することで支持を集めることができた。こうした現象は先進国では共通に起きている。

既成組織の弱体化

 ただ比例代表制の下で昔から中小の政党が常に乱立していたかというと、必ずしもそうではない。欧州では長年、中道右派と中道左派の2大政党が存在し、両陣営で得票の大部分を占めていた。中道右派には企業団体や農業団体、キリスト教勢力が、中道左派には労働組合といった既成組織の支持基盤があった。

 しかしグローバル化とライフスタイルの多様化で、既成組織の力が低下した。無党派層が拡大し、既成政党も弱体化していく。

 日本は欧州に比べると既成政党の弱体化の進行が遅く、今もなお自民党は相対的優位を保っている。それでも欧州と同様、日本でも既成の組織や団体を経由して既成政党に投票するルートは弱まり、個人個人が自らの政治的判断に基づき、投票先を決めるようになっている。特に左派ではそれが顕著で、労組の統合力と動員力の減退が既成の左派政党の力の低下につながっている。

 その一方、れいわ新選組のような急進左派的な主張を掲げる新しい政党が支持を集めてきており、右派ではNHK党や今回初議席を獲得した参政党が出現した。

支持を得た理由

 参政党について、私は自分の大学の学生たちに聞いてみた。投票するかどうかは別にして、親近感を持っている人が多いようだ。主にSNSを通じて存在を知ったようで、主張が分かりやすく、言いたいことを言ってくれるという評価をしていた。

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水島治郎

千葉大教授

 1967年生まれ。東大大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。甲南大助教授などを経て現職。専門はオランダ政治史、欧州政治史など。著書に「ポピュリズムとは何か」(中公新書)など。