
先の参院選では女性候補の比率が3割を超え、女性議員が35人(改選125議席のうち28.0%)当選した。
以前から女性候補比率の数値目標を掲げてきた立憲民主党と共産党は、参院選では5割の目標を達成した。さらに、これまで数値目標に慎重だった自民党も「比例代表で候補の3割以上」という目標を掲げ、達成した。直前になって比例代表に女性を続けて擁立して達成したものだが、世論に押されて自民党でさえ取り組む姿勢を見せなければならなくなっている。
女性議員の成り手がいないと言われてきたが、政党が本気を出せば女性を擁立できることを証明した。つまりは、女性議員を増やすことは政党の取り組みにかかっている。
この流れを後退させないことが重要だ。そして「政治分野における男女共同参画推進法」が求めるのは男女同数だ。そこに達していない政党はさらなる取り組みが必要だ。
女性が選挙に弱いわけではない。変化の担い手として期待されているから、地方選挙では女性は上位で当選している。国政は政党の支援が必要なので、政党の責任は一層重い。
強固な現職優先
問題は、日本の政治は現職優先が強く、流動性に欠けていることだ。いったん当選してしまえば、次も公認されることが当然になり、新陳代謝が働かない。女性に限らず、新しい人が入りにくい。
いくら建前で女性議員を増やすべきだと言っても、男性の現職議員が自分の議席を譲ることはない。これは他国も同じだ。ではどうしているかというと、現職を自動的に公認しないことで党内競争を高めている。
英国では労働党の本部がトップダウンで「この選挙区の候補は女性にする」と決める手法をとった。もちろん地元は抵抗するが、党首のリーダーシップで実現してきた。しかし、自民党は都道府県連組織の影響力が強く、同じことをするのは非常に難しい。民主的な投票で候補者を選ぶ慣行もない。
下村博文氏が自民党選対委員長だった時に、10年で衆院の自民党女性議員を3割にするにはどうすればいいかというシミュレーション…
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