自民と旧統一教会 関係の秘匿が問題だ

桜井義秀・北海道大大学院教授
記者団の質問に答える岸田文雄首相=首相官邸で2022年8月5日、竹内幹撮影
記者団の質問に答える岸田文雄首相=首相官邸で2022年8月5日、竹内幹撮影

 政治家は支援団体を求めるもので、宗教団体もその一つだ。宗教側も政治参加を求め、政治が呼応している面もある。

 宗教と政治の関係にはいくつかのタイプがある。創価学会と公明党のように宗教理念を政治に実現するために政党を結成するタイプや、保守系団体・日本会議と関係の深い宗教団体のように理念に近い政治家を支援するタイプもある。これらとは異なり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のように与野党問わず政治と幅広く関係を持つタイプもある。

 旧統一教会と自民党の場合、教団側は選挙で固定票を提供し、街頭演説では聴衆の動員をかけていた。パーティー券の購入や私設秘書を無償で事務所に派遣する例もあった。

 こうした関係は、旧統一教会が反共産主義を掲げて政治団体「国際勝共連合」を1968年に発足して以降、約50年にわたって続いてきた。ただ、この30年ほどは忘れられていた。

祝辞を贈るだけで教団にはメリット

 旧統一教会と関係のあった議員は「支援に対する見返りは何もない」と主張している。しかし、基本的にはバーターのはずで、何かをしてもらったら何かを返すものだ。

この記事は有料記事です。

残り1055文字(全文1525文字)

北海道大大学院教授

 1961年生まれ。84年に北大文学部を卒業し、87年に同大大学院文学研究科博士課程中途退学。2004年から現職。専門は宗教社会学。