
3月の韓国大統領選で、若年層の投票行動が性別によって極端に分かれたことは日本でも大きく報じられた。20代以下の男性の約6割が、男性に寄り添う姿勢を示した尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏に投票したのに対し、20代以下の女性の約6割は進歩系の李在明(イ・ジェミョン)氏を選んだという出口調査は、若者の間で激しいジェンダー対立が起きていることを示した。
先日参加した日韓の学生によるフォーラムで、それを肌で感じた。韓国の学生同士で鋭い意見が飛び交い、聞いているこちらが緊張感を覚えるほどだった。学生たちの声を紹介しながら、日韓関係への影響についても考えてみたい。
「男性嫌悪」に敏感な男性たち
ロの字形に机を並べた会議室に日韓の学生が交互に座る。公益財団法人「日本国際交流センター」は8月18日、東京都内で「日韓・韓日ジュニアフォーラム」を開催した。公募で集まった日韓計22人の学生らが、両国の歴史問題や懸案へのアプローチ方法などについて話し合った。プログラムはすべて対面で実施、使用言語は日本語のみとあって、韓国人参加者は日本で学ぶ学生がほとんどだった。韓国側の内訳は男性7人、女性4人だった。
議論が熱を帯び始めたのは、「ジェンダーをめぐる日韓両国の社会状況」というテーマに移った時だ。冒頭、名古屋大大学院の野崎文香さんが両国の若者のジェンダー意識について発表し、これをもとに討論が始まった。
発表の中で、韓国で2021年、「男性を嫌悪する意図があったのではないか」と話題になったいくつかの広告が映し出された。うち1枚は、「キャンプに行こう」と書かれたポスターで、大手コンビニチェーン店がキャンプ用品購入のキャンペーンを告知したものだった。
私も、フォーラムの司会を担当した静岡県立大の小針進教授も、この広告がなぜ論争を巻き起こしたのか、ピンと来なかった。ところが小針氏が「意味が分かる人?」と問うと、韓国人の男子学生はほとんどが手を挙げた。
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