沖縄振興予算 県が政府に急所を握られている

佐藤学・沖縄国際大教授
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玉城デニー知事が再選した沖縄県知事選の投開票から一夜明け、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で名護市辺野古の埋め立て工事に抗議する人たち=沖縄県名護市で2022年9月12日、喜屋武真之介撮影
玉城デニー知事が再選した沖縄県知事選の投開票から一夜明け、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で名護市辺野古の埋め立て工事に抗議する人たち=沖縄県名護市で2022年9月12日、喜屋武真之介撮影

 先の沖縄県知事選では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する玉城デニー氏が再選した。だが、基地問題と沖縄振興予算がどう絡んでいるかについての本質的な議論は深まらなかった。

「県政不況」

 2021年度末に成立した改正沖縄振興特別措置法には5年以内の見直し規定が初めて設けられた。これは辺野古移設に反対する県政へのけん制であり、政府が基地問題と沖縄振興予算をリンクさせている姿勢の表れだ。

 沖縄振興予算は仲井真弘多(ひろかず)元知事時代に辺野古の埋め立て承認と引き換えに10年間3000億円を確約して14年度には3501億円を計上したが、移設反対を掲げて当選した翁長雄志前知事時代の15年度に減額に転じ、現在まで減額傾向が続いている。知事選で自民、公明両党が推薦した佐喜真淳氏は県内経済の状況を玉城氏が知事であることによる「県政不況」などと主張した。

 一方の玉城氏も、再選後の9月14日、県を訪れた岡田直樹沖縄担当相に対し、来年度予算での十分な振興予算確保を要請した。玉城氏も佐喜真氏も国の沖縄振興予算の増減にこだわっている点では同じだ。

 知事選で敗れた元衆院議員の下地幹郎氏は選挙戦で、国による沖縄への特例に頼らない振興を訴えた。下地氏が主張した内容こそ、玉城氏が掲げるべきものであり、さらに言えば前知事の翁長氏が主張しなければならなかったことだ。現在の振興予算のあり方は、県が政府に急所を握られているようなものだ。予算を通じて県が国に脅されている状況を変えることが大事だ。

オール沖縄にも課題

 玉城氏は辺野古移設を阻止する手段として法廷闘争や国連への訴えなどをあげている。しかし訴訟では県の敗訴が続いており、有効策を持ち合わせていない。

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佐藤学

沖縄国際大教授

 1958年生まれ。早稲田大大学院修了後、米ピッツバーグ大政治学大学院博士課程満期退学。中央大で政治学博士号取得。2002年から現職。著書に「沖縄が問う日本の安全保障」(共著)など。