北朝鮮によるミサイル発射が巡航ミサイルも含めれば、今年既に27回にも及んでいる(10月14日現在)。10月4日早朝に発射された弾道ミサイルは5年ぶりに日本上空を通過した。飛距離は過去最高の推定4600キロで、約3600キロ離れた米グアム島を射程に収める能力をみせた。
国民を保護する体制が不十分
4日の発射で政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を発信したが、タイミングは遅かった。しかも上空を通過した青森県は第2報だった。落下の可能性がなかった東京都の一部島しょ部が第1報の対象となる不手際もあった。国民を保護する体制が不十分だったと言わざるを得ない。
今回、改めて実感したのは緊急避難施設の問題だ。都市部には地下施設や鉄筋コンクリートの建物が多くあるが、地方には地下街はほとんどなく、丈夫な施設が近くにないことも多い。爆風や飛散物を避けることのできる施設の整備を早急に進めて、周知する必要がある。
また万が一、原発などが攻撃を受けたり、あるいは核兵器による攻撃があったりした場合の放射線防護の問題もある。最悪の事態が起こった場合の対応を国民一人一人に知っておいてもらうことも重要だ。有事だけではなく、大地震など災害時の対策とも重なる。イスラエルや韓国の事例も踏まえながら準備を進めるべきだ。
弾道ミサイルが上空を通過した青森県は津軽海峡に面しており、海運の要衝だ。原子力施設や米軍基地など重要施設も多く抱えている。重要施設をいかに守っていくか、被害を最小限にとどめるかも総点検する必要がある。
事が起こる前に
自衛隊にはさまざまな法制度上の制約がある。…
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