いつも一歩下がる「戦略的おろおろ」の岸田首相

原口一博・元総務相
原口一博氏=須藤孝撮影
原口一博氏=須藤孝撮影

おとなしかった当選前の岸田氏

 1993年衆院選に出馬する前、自民党の宏池会(現岸田派)に属して派閥の例会に出席していた。その時、同じ新人候補として岸田文雄氏(93年衆院初当選)がいた。非常に控えめな、穏便な方だったと記憶している。

 人としては悪いことではないが、政治家は自分の「首座」があって、自分がこうやりたいということがあって、初めて問題を解決できる。岸田氏にはそれが感じられない。「聞く力」と言っても芯のない雪だるまのようなもので、すぐに崩れてしまう。「戦略的おろおろ」と言う人もいたが、戦略とも思えない。

ヤマタノオロチ状態

 失礼ながら、岸田氏は優先順位をつけるのが苦手なのではないか。安倍・菅政権は良くも悪くも方向性があった。岸田政権には方向性が見えない。それでいて、ある面では安倍・菅政権よりも激しいことをやっている。

 予算でも予備費を野放図に積み上げる。やたらと基金を作る。自由に使える「外付けのポケット」だ。対ロシア外交でもバイデン米政権の言いなりで、柔軟性がなく、非常に硬直的だ。

 やらなければいけないことをやらず、止めなければいけないことを止めず、やってはいけないことを大胆にやっている。…

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元総務相

 1959年生まれ。佐賀県議を経て96年衆院初当選。民主党副代表、総務相などを歴任。衆院佐賀1区、当選9回。立憲民主党。