宗教者が問う 旧統一教会問題の本質

釈徹宗・相愛大学長、僧侶
釈徹宗氏=山崎一輝撮影
釈徹宗氏=山崎一輝撮影

 近ごろ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令問題を巡って、「政治と宗教」という言葉を聞かない日はない。これは、正確には「政治と、宗教法人格を持つ(人権を侵害し、公共の福祉に反する)破壊的カルト」の話だろう。

 カルトには、「熱狂的に信じる」という意味がある。熱狂的な反社会集団を規制するのは、社会の維持にとって当然だと思う。ただし、宗教一般にも熱狂はつきものだ。つまり、カルト性をハナから欠く宗教もない。

 問題を根本から解くには、社会を構成する個々人が、宗教についてしっかりと考察すべきなのである。それは、民主主義社会に本来は必須であるべき、極めて政治的な課題といえる。

不透明な解散命令要件の解釈変更

 先に、解散命令自体について。旧統一教会を解散させるにせよ、違う結論となるにせよ、審議のプロセスを透明にしていく姿勢が重要である。

 岸田文雄首相は、解散命令を請求する要件に「民法の不法行為」も「入り得る」と宗教法人法の解釈を変更した。ここもしっかりとした理路が必要であり、変更の経緯はオープンにせねばならない。従来は、刑法違反に要件は絞られているなどと言われてきた。

 しかし、これも旧統一教会を守るためだったのではないか、との見方すらある。実際のところ、要件の議論はどのようになされてきたのか、不明のままである。言うまでもなく法にのっとって案件が処理されるべきで、案件に合わせて法解釈が変わるのは問…

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相愛大学長、僧侶

 1961年生まれ。大阪府立大大学院博士課程修了。専門は比較宗教思想。浄土真宗本願寺派如来寺(大阪府池田市)住職、NPO法人リライフ代表も務める。「落語に花咲く仏教」で河合隼雄学芸賞。他の著書に「いきなりはじめる仏教生活」「宗教は人を救えるのか」「お経で読む仏教」など。共著に「異教の隣人」など。