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女性は軍隊にいてはいけないのか

日下部元美・政治部記者
韓国軍には将校などに女性を募集する制度がある。陸軍の女性副士官への応募を求めるポスター=仁川市延寿区のホームページから
韓国軍には将校などに女性を募集する制度がある。陸軍の女性副士官への応募を求めるポスター=仁川市延寿区のホームページから

 陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士、五ノ井里奈氏が複数の男性隊員から性暴力を受けていたことを告発し、自衛隊内における性被害の問題に焦点があたっている。

 徴兵制を敷く韓国では、少子化や男女間の対立を背景に女性徴兵の議論が盛んに行われている。だが、韓国軍内でも性被害の問題は後を絶たず、近年は自殺者が出るケースも相次いでいる。果たして軍隊は女性がいるべき場ではないのか。

相次ぐ女性兵士の自殺

 2021年5月、上官から性的被害を受けた空軍の女性下士官が官舎で自殺した状態で発見された。同年3月、会食後に身体を触られるなどのわいせつ被害にあい、女性は上官に被害を申告した。

 だが、上官は性的被害が公にならないように女性に対し組織的に圧力をかけ、捜査の不備もあった。遺族は「被害を通報した後のもみ消しや嫌がらせなどに耐え切れず自ら命を絶った」と主張。女性が婚姻届を提出した直後に死を選んだことも国民に大きな衝撃を与えた。当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は遺族に謝罪をし、李成龍(イ・ソンヨン)空軍参謀総長は辞任に追い込まれた。

 軍検察は加害者男性や事案に関わった15人を起訴したが、捜査が不十分だとして、特別検察が軍に対して初めて捜査を実施。今年9月までに被害を隠蔽(いんぺい)し被害女性に対して適切に対応しなかったなどとして空軍法務室長を含む8人を起訴。ずさんな調査などによる2次加害が女性を自殺に追い込んだと結論づけた。

 被害はこれだけに限らない。…

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政治部記者

1991年東京都生まれ。2014年入社。2020年6月から韓国・ソウルに語学留学した。現在に至るまで担務の傍ら性的少数者(LGBTなど)や障害者など社会的マイノリティの取材を続け、旧優生保護法下の障害者らに対する強制不妊手術問題を扱ったキャンペーン報道『旧優生保護法を問う』の取材班に参加した。好きな物は映画と漫画。Twitter @MoKusakabe