「れいわローテ」と代表制の危機

白鳥浩・法政大大学院教授
山本太郎氏=幾島健太郎撮影
山本太郎氏=幾島健太郎撮影

 れいわ新選組の水道橋博士参院議員の議員辞職に伴い、山本太郎代表は水道橋博士氏の残りの任期5年半について、比例代表で落選した5人が議員任期を1年ごとに交代する「れいわローテーション」を導入すると発表した。

 れいわが本当に1年交代を実施するかは1年後にならないとわからない。「議論を起こした」ことで目的を達成したと考え、実際にはやらないかもしれない。しかし、代表制における民意の意味を問う深刻な問題だ。

 また、比例代表を巡っては、合区により候補者を出せない県の救済策として自民が活用する比例代表の特定枠で、事実上、徳島県の地域代表として当選した自民党の三木亨参院議員が辞職した。このため、地域と関係のない議員が繰り上げ当選した。

 いずれも日本の代表制をどうするか、日本の民主主義をどうデザインするかに関わる問題であり、代表制の危機が起きている。

政党の意向より個人を重視すべきだ

 以前、参院の選挙区は地方区と全国区に分かれていて、全国が一つの選挙区だった全国区は「銭酷区」といわれるほど選挙費用がかかり、過酷な選挙区だった。その反省から党の名前で投票できる比例代表ができた(1983年から実施)。

 当初は党が候補者の当選順位を決めていた(厳正拘束名簿式)。しかし事実上党への貢献度で当選者が決まる状況になり、オレンジ共済組合事件のような「カネで議席を買う」事件が起きた。このため、現在のように同じ党内での当選順位は、個人への投票数の順に決まる(非拘束名簿式)制度になった(2001年から実施)。

 現在の制度は、政党の政策によって選ぶと同時に、政党のなかでも特にこの人を当選させたいという民意が反映できる仕組みになっている。制度の趣旨としては議員個人を選ぶことに重点がある。

 また、参院の選挙制度には、衆院とは違う形で議員を選ぶ意味もある。参院は良識の府とされ、党利党略よりも議員一人一人の見識を重んじる理念がある。参院比例代表の投票用紙を見れば、まず「候補者名の氏名を書くこと」とあり、その次に「候補者の氏名に代えて政党などの名称を書くこともできる」とある。このことはもっと重視されるべきだ。

 一方で比例代表では、まず党の当選人数が先に決まる。このため、与野党を問わず、政党はよく「比例代表の議席は政党の議席だ」と主張する。

 しかし、当選する順位を決めているのは個人票数だ。だから当選者が辞職した場合に誰が繰り上がりで議員になるかにおいては、政党の意向ではなく議員個人が重視されるべきだ。

 山本氏は政党が何人の当選者数を獲得したかしか見ておらず、個人の得票数の意味を軽視している。…

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法政大大学院教授

 1968年東京都生まれ。博士(政治学)。静岡大助教授、英国オックスフォード大客員フェローなどを経て現職。専門は現代政治分析など。著書に「二〇二一年衆院選 コロナ禍での模索と『野党共闘』の限界」(編著、法律文化社)など。