「家族」政策を通じてつながる旧統一教会と自民党保守派

斉藤正美・富山大学非常勤講師
記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の勅使河原秀行・教会改革推進本部長(奥)=東京都渋谷区で2022年10月20日、丸山博撮影
記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の勅使河原秀行・教会改革推進本部長(奥)=東京都渋谷区で2022年10月20日、丸山博撮影

 男女共同参画社会基本法の施行(1999年)をきっかけにはじまった性教育や男女共同参画への激しい攻撃(バックラッシュ)の背景には、自民党保守派と宗教右派との密接な関係がある。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)だけではなく宗教右派全体の問題ではあるが、自民党と旧統一教会との関係をみる場合はこの関係を重視する必要がある。

男と女の結婚を重視する旧統一教会

 自民党保守派と旧統一教会の主張には共通点があるが、違いもある。保守派は国家を重視する傾向があり、旧統一教会は反共主義が強固だ。いずれにも共通するのが家族に価値を置く考えだ。

 旧統一教会は神の理想を具現化する場として結婚と家庭を重要視している。家庭の役割はあくまでも子どもを産み育てることであって、男と女による法律婚しか認めない。

 研修の冊子でも「3人以上の子どもを産むよう努力する」とか、「週に2回以上愛し合うこと」とか、「テレビを見るときにも手をつなぐ」などということまで記載されている。

 他の宗教右派よりも「男と女が結婚し子どもを産み育てる場」としての家庭へのこだわりが強く、子孫が残らないという理由から同性婚に反対し…

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富山大学非常勤講師

 1951年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程人間発達学修了、博士(学術)。専門は社会学。フェミニズム、メディア研究。共著に、「社会運動の戸惑い」(勁草書房)、「まぼろしの『日本的家族』」(青弓社)、「国家がなぜ家族に干渉するのか」(青弓社)、「徹底検証 日本の右傾化」(筑摩書房)、「宗教2世」(太田出版)など。