
ロシアによるウクライナ侵攻の戦線は拡大していく傾向にある。春から夏にかけて、ロシアは物量作戦で巻き返す動きを見せる一方、ウクライナを支持する西側諸国はさらに軍事力で支援する方針だ。
ただ、我々西側諸国は、戦線がコントロール不能なレベルに拡大することは望んでいない。ウクライナが国境を越えてロシア本土へ攻撃することには依然として慎重な立場だ。
専門家の間では、今後数年間は和平の方向には行かないという見方が強い。それでも、ロシアのプーチン大統領は最終的には勝利できないだろう。
まず、戦闘の長期化によってロシア国内で疲弊感が高まり、ウクライナが優位となれば、何らかの形で停戦に至る可能性がある。当面は困難でも、恐らくこれが最も望ましい。
第2のシナリオは、プーチン氏が劣勢になって核兵器を威嚇のみならず実際に使用し、北大西洋条約機構(NATO)軍が通常兵力で介入して、欧州でウクライナを超えた戦争が始まることだ。この場合、西側諸国も大変な犠牲を払うことになり、避けるべきだが、ロシアも国家を荒廃させ、ロシアはやはり勝てないだろう。
また、西側諸国がロシアへのエネルギー依存を減らして団結を強める一方、ロシア国内では人々の不満が募ることによって、プーチン氏に代わる別の指導者が誕生するなど、現在とは異なるロシアが誕生するかもしれない。
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