
岸田文雄首相は、年頭の記者会見で「異次元の少子化対策」を打ち出した。1970年代前半の200万人台から2022年の77万人(見込み数)と、急速に減少する出生数への危機感を示したことは、遅まきながら重要といえる。しかし、問題は、その政策の中身と財源だ。
財源はどうする
現在、唱えられている少子化対策の内容は、児童手当の大幅な拡大、学童保育・産後ケアの充実、育休制度の拡充など、いずれも必要なものではある。しかし、従来行われてきた政策の延長線上にとどまっている。このため「異次元」と言えるためには、その規模を大幅に増やすしかない。
現在の6兆円規模の少子化関連予算を、仮に5割増にしたとしても、3兆円分の追加的な財源が必要だ。これについて、子育ては未来への投資だから、社会資本と同様に建設国債で賄えばよいとの案もある。
しかし、道路や空港のように、民間投資を促進させる外部経済効果が期待できない子育て支援政策の財源を国債に求めれば、その返済負担も将来世代だけに負わせることになる。
他方で、高齢者の年金や医療の費用を負担する将来世代を増やすための費用は、その最大の受益者となる高齢者に負担してもらう構想もある。
すでに出産育児一時金の増額で、この財源の一部に、75歳以上の後期高齢者医療制度から拠出金が出される健康保険法改正案が、今国会に提出予定となっている。
これと同じ論理をさらに拡大したものが、最近報じられている「子育て連帯基金構想」だ。…
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