ロシアのウクライナ侵攻から1年が過ぎた。私は昨年秋、両国を仲介するトルコと、ウクライナの隣国で多くの避難民を受け入れるモルドバで現地調査を行い、長年続けてきた和平調停に関する研究も踏まえ、本(「ウクライナ戦争をどう終わらせるか」岩波新書)を出版した。
欧米の関心と外交はウクライナに集中しているが、中東やアフリカ、南米など「グローバルサウス」と呼ばれる第三世界の国々もカギを握っている。
日本が気候変動や干ばつ、感染症などグローバルな課題で第三世界を支援することで「味方」を増やせれば、戦争終結に向けた影響力も発揮できる。
カギは第三世界
ロシアはウクライナ東・南部4州を憲法改正で自国領土とする一方で、ウクライナはクリミアと東・南部4州を軍事的に奪還するまで交渉を始められないとしている。
このため、ウクライナが軍事的な攻勢でロシア軍を追い払わなければ戦争は終結しないとする声も大きい。
しかし、ウクライナが1991年に独立した時のラインまでロシア軍を軍事的に追い出したとしても、ロシアに戦意があり、戦費もあり、武器も製造できている限りは、また侵攻してくるかもしれないし、空爆が続くかもしれない。戦争の終結は保証されない。
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