生活保護と外国人 このままでは「生きていけない」

大澤優真・北関東医療相談会事務局スタッフ
中東やアフリカ、アジアなどの国々から日本で暮らす難民や仮放免中の人たちの現状を伝え、交流するためのチャリティイベントとして開かれた「難民・移民フェス」で、自身も身につけている刺繍飾りの作り方を実演してみせるクルド人の女性=埼玉県川口市で2022年11月23日、和田大典撮影
中東やアフリカ、アジアなどの国々から日本で暮らす難民や仮放免中の人たちの現状を伝え、交流するためのチャリティイベントとして開かれた「難民・移民フェス」で、自身も身につけている刺繍飾りの作り方を実演してみせるクルド人の女性=埼玉県川口市で2022年11月23日、和田大典撮影

 新型コロナウイルス禍以来、日本にいる外国人は困窮を極めている。

 とりわけ厳しいのは、在留資格はあるが就労はできない、社会保険も使えない難民申請中の人たちと、入管(出入国在留管理庁)施設での収容を一時的に停止された、同様に就労できない仮放免中の人たちだ。

 このままでは死んでしまう、生きていけないほどに大変な状況にある。

兵糧攻め

 外国人には生活保護法に基づく保護は認められていない。代わりに永住者、定住者、日本人・永住者の配偶者など一定範囲(全体の5割弱)の外国人は生活保護の準用措置を受けられる。

 準用されるならば良いだろうとよく言われるが、問題もある。恩恵的と位置づけられているため、不当な扱いに対抗できない。「水際作戦」と言われる、窓口での申請拒否にあい保護を受けられなかった例がある。

 さらに準用措置を受けると、在留資格の更新が認められなくなる恐れがある。このため申請をためらい、事実上受けられない人もいる。

 一方で、準用措置の対象外の人がいる。

 仮放免の人は対象外だ。しかも就労が禁止されている。生きるために親族や友人に借金をする。

 しかし私が関わっているNPO法人北関東医療相談会(群馬県太田市)で実施したアンケートでも、「お願いをしても断られる、来ないでほしいと言われる、自殺したくなる」などのコメントがあった。知人の手伝いをしてなんとか置いてもらっている人もいるが、賃金という形ではもらえない。

 保険がないため病院にも行けない。仮放免状態にある人が体調を崩したため、私が病院に同行したが、1回の診療と投薬で2万6360円かかった。…

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北関東医療相談会事務局スタッフ

 法政大学大学院人間社会研究科人間福祉専攻修了 博士(人間福祉) 一般社団法人つくろい東京ファンド生活支援スタッフ NPO法人北関東医療相談会事務局スタッフ・理事 著書に「外国人の生存権保障ガイドブック――Q&Aと国際比較でわかる生活保護と医療」明石書店(共著)「ハウジングファースト――住まいからはじまる支援の可能性」山吹書店(共著)など。近著に「生活保護と外国人」(明石書店)。