
日本政府は「移民政策はとらない」としています。「日本には移民はいない」ことになっているのですが、もちろん、親に伴われて来日した子どもや、外国生まれの親を持つ日本生まれの子どもは大勢います。
「受け入れる方針はないけれども存在している」子どもたちを追い続けてきた日本女子大学教授の清水睦美氏に聞きました。【聞き手・須藤孝】
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日本に中長期に滞在する外国籍の親に伴って来日した、あるいは日本で生まれた「ニューカマー」と呼ばれる子どもたちを20年以上、追い続けてきた。
「移民第二世代」であるかれらは学校でも社会でも見えにくくされ、存在を無視され続けてきている。
同調圧力
「できてもできなくてもみな一緒」というのは一見すると良さそうだが、「みな一緒だから、同じように扱えばいい」となる。だから実際は違いがあっても、教師は違った子どもとして対応してくれない。
しかし、小学校の3、4年生ごろから、「自分は何者か」と考えるようになると、外国ルーツの子どもたちは、教室の中の他の子どもと環境が大きく違っていることに気がつく。
その時、「みな一緒」という論理をもつ日本の学校は、子どもたちの感じる「違い」を説明する言葉を持たないし、「違い」への対処を一緒に考えてくれるわけでもない。
日本では学校に行くならばみな同じであるべきだという同調圧力が働く。外国ルーツの子どもたちにとっては、「同じ」になることへのハードルがより高いにもかかわらず、同じように同調を求められるし、多くの子どもが「うまくいかないのは自分のせい」と考えるようになる。
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