-
アフリカで「甲子園」? JICAを辞めた57歳の球春
2021/9/23 11:00 3398文字今夏の東京オリンピックで、私は陸上競技を連日取材した。その中で強く印象に残ったのが、新型コロナウイルス感染拡大による大会延期のあおりを受け、日本で1年8カ月の長期合宿を余儀なくされた南スーダンの選手たちの姿だった。その合宿の橋渡しをしたのは、友成晋也さん(57)。私は14年前、野球で2008年の北
-
担当記者は見た!
マラソン服部勇馬 コロナ下で自問した「走ることの意味」
2021/8/7 11:00 2278文字「本当に走っていいのかと思うこともあった」。5月5日、札幌であった東京オリンピック男子マラソンのテスト大会。レース後、東京五輪代表である服部勇馬(27)=トヨタ自動車=の率直な言葉に、実直な人柄がにじみ出ていた。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、沿道には「五輪ムリ 現実見よ」と批判的なプラカ
-
担当記者は見た!
まっすぐに生きるプロランナー・大迫傑の矜持
2021/8/7 07:00 2309文字実業団を異例の1年で退部し、プロランナーに転向した。米国を拠点に練習するのは自らの道を切り開くための決断だった。男子マラソンの前日本記録保持者はまっすぐに生きている。東京オリンピック代表、大迫傑(30)=ナイキ=の言葉を聞くと、そう感じる。 ◇注目集める発信力「ドラマはいらない」 新型コロナウイル
-
攻めすぎたバトン 男子400メートルリレー・日本がミスした背景とは
2021/8/7 06:30 999文字東京オリンピック第15日の6日、東京・国立競技場で陸上の男子400メートルリレー決勝があり、日本(多田、山県、桐生、小池)はバトンミスで棄権し、メダル獲得はならなかった。 勢いよく飛び出した第1走者の多田が、第2走者の山県に向けて腕を伸ばした。日本が得意のバトンパス、のはずだった。山県にバトンが渡
-
担当記者は見た!
けがと向き合う陸上人生 鈴木亜由子が恩師と歩んだマラソンロード
2021/8/6 16:00 2269文字その手紙を読み、思わず涙した。2019年9月14日。一発勝負の東京オリンピックのマラソン代表選考会を翌日に控えていた。 女子マラソン代表の鈴木亜由子(29)=日本郵政グループ=は、所属先の高橋昌彦監督から軽食を渡された。そこには一通の手紙が添えられていた。 「この状態なら大丈夫。十分勝ち抜ける。自
-
-
担当記者は見た!
「京大出身」のレッテルに葛藤 競歩・山西利和の悟った境地
2021/8/3 07:00 2271文字「京都大出身と言われるのは嫌」。東京オリンピックの陸上男子20キロ競歩代表、山西利和(25)=愛知製鋼=の心の叫びだ。眼鏡姿の小柄な世界王者は、判で押したように「文武両道」と見られる葛藤から、どう心境が変化し、金メダル最有力候補になったのか。 ◇「いろいろ考えるタイプ」にはまった特性 幼い頃、球技
-
五輪の花形 陸上男子100メートルの価値を読み解く
2021/8/1 18:30 1113文字東京オリンピックで実施する全33競技の中でも、「世界最速」の称号を争う陸上の男子100メートルは花形種目だ。過去にはカール・ルイス(米国)、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)ら数々のスーパースターが誕生した。新型コロナウイルスの感染拡大で無観客開催となったが、当初設定された競技チケットの最高額は男子1
-
マラソン人生、五輪後開花 小鴨由水さん、浅井えり子さんの使命
2021/7/31 15:01 3052文字男子マラソンの谷口浩美さん(61)が「こけちゃいました」発言で注目された1992年バルセロナ五輪で、「シンデレラガール」と呼ばれた女子マラソン選手がいた。小鴨由水(こかもゆみ)さん(49)。代表選考会だった92年の大阪国際女子マラソンで、日本最高記録(当時)を塗り替えて、初マラソン初優勝。無名の2
-
谷口浩美さん スポーツ界を救った「こけちゃいました」の背景
2021/7/31 15:00 2000文字五輪に出場する選手はメダル獲得への重圧を背負い、戦う。勝てば喝采を浴びるが、敗れれば悲壮感が漂う。数ある競技の中でも花形とされるマラソンの「勝敗」は、人々の記憶に刻まれてきた。 1996年アトランタ五輪で有森裕子さん(54)は銅メダルを獲得し「初めて自分で自分を褒めたいと思います」と涙を浮かべた。
-
Passion
博士号を持つジャンパー・戸辺直人 亡き恩師と臨む五輪
2021/7/26 11:00 1806文字陸上の男子走り高跳びの研究論文をまとめ、博士号を取得した理論派ジャンパーがいる。技術の裏付けを徹底的に突き詰め、世界ランキング1位も経験した。7月30日、東京で自身初のオリンピックを戦う。胸の内には「亡き師」への思いがある。 195センチ近い長身で小顔。モデルのようなスラリとした体形の戸辺直人(2
-
-
バブル崩壊危機 五輪コロナ急増 バッハ氏「リスクゼロ」怪しく
2021/7/22 20:08深掘り 1278文字23日に開幕する東京オリンピックは、22日も一部競技の1次リーグが行われた。 サッカー男子1次リーグA組で日本の初戦は、別の意味で注目されてしまった。対戦する南アフリカは選手2人、スタッフ1人の新型コロナウイルス陽性が判明。濃厚接触者の認定は18人に上った。試合開始2時間前、大会組織委員会は「予定
-
陸上界の新星デーデー・ブルーノはどんな人? 五輪リレー代表選出
2021/7/2 20:08 1524文字陸上の日本選手権で一気に注目を集めた男子短距離のデーデー・ブルーノ(21)=東海大=が2日、男子400メートルリレーのメンバーとして東京オリンピック代表入りを果たした。陸上を始めてわずか5年余りで五輪代表まで上り詰めた新星の意外な素顔とは。 日本選手権100メートル決勝では多田修平(25)=住友電
-
小池が100メートルを選択、デーデーがリレーメンバーのワケ
2021/7/2 18:50 1096文字東京オリンピックの陸上男子100メートル代表の最後の1枠は、日本選手権4位の小池祐貴に決まった。しかし小池は日本選手権で優勝して権利を得ていた200メートル代表を辞退した。背景には日本陸上競技連盟によるリレー重視の戦略があった。 男子100メートルは、参加標準記録(10秒05)を突破した選手の中で
-
東京五輪でメダル期待 400mリレーメンバーは? 選考事情を探る
2021/6/27 20:12 1247文字東京オリンピックで金メダルが期待される陸上の男子400メートルリレーのメンバー選考は、難しい判断を迫られそうだ。27日閉幕の日本選手権(大阪)では、有力選手がけがのため相次いで離脱する一方、新鋭の台頭も見られた。2大会連続の五輪メダル獲得に向け、どんな布陣で臨むのか、選考事情を探った。 日本は男子
-
「2種目出場は回避を」 陸連がスプリンターの権利を制限する事情
2021/6/25 16:00 1717文字複数の個人種目で代表切符を手にしても、出場できるのは一つのみ? 日本陸上競技連盟は男子短距離の東京オリンピック代表に対し、複数の条件を満たさなければ五輪本番では100、200メートルのどちらかに出場種目を絞るよう求めている。100メートルの代表争いは25日夜の日本選手権(大阪)決勝でハイライトを迎
-
-
陸上男子100は9秒台4人 史上最高レベルの争いを制するのは?
2021/6/23 19:46 1260文字陸上の東京オリンピック代表選考会を兼ねた日本選手権が24日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開幕する。27日まで4日間の日程で、五輪参加標準記録を突破した選手が3位以内に入れば代表に決まる。注目は最大3枠の代表を争う男子100メートルで、初めて9秒台の日本選手4人が集結する。10秒0台前半の2人も
-
「首の皮一枚つながった」 もがく100メートル女王・福島千里
2021/6/23 07:00 1253文字10年以上も日本の陸上女子短距離を引っ張ってきたスプリンターが、苦しんでいる。日本選手として女子100メートルで半世紀ぶりに五輪出場を果たすなど、世界への道を一人で切り開いてきた福島千里(セイコー)。27日で33歳になるスプリンターは今、陸上人生の正念場を迎えている。 「首の皮一枚つながった感じで
-
担当記者は見た!
山県亮太と桐生祥秀、「良きライバル」の物語
2021/6/22 07:00 2050文字「10秒の壁」と戦ってきた2人は、特別な関係にある。陸上男子100メートルで日本新記録を出した山県亮太(29)=セイコー=と、4年前に日本選手で初めて9秒台をマークした桐生祥秀(25)=日本生命。東京オリンピック代表を懸け、24日開幕の日本選手権(大阪)での対決が注目される。9秒台への期待や重圧と
-
ケンブリッジ飛鳥が迎えた意外なパートナー 復活へのカギは?
2021/6/19 12:00 1470文字5年前、彼はヒーローになった。リオデジャネイロ五輪男子400メートルリレーで銀メダルに輝いたケンブリッジ飛鳥(28)=ナイキ。今夏の東京オリンピックに向けては苦しい状況だが、逆転での100メートル代表入りへ、意外なパートナーが支えている。 2016年8月19日、リオ五輪男子400メートルリレー決勝
-
眼鏡、ヘアバンド、ハンパない運動能力…陸上界に現れた新星
2021/6/13 08:00 1499文字トレードマークは眼鏡とヘアバンド。個性的な風貌のハードラーが、陸上男子400メートル障害の東京オリンピック代表候補に浮上した。最大の特長は、指導者が「同じ人間じゃないぐらい」と驚く運動能力だ。17日で20歳になる新星は、どのように飛躍を遂げたのか。 5月9日、東京・国立競技場であった東京五輪テスト
-