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値上げに「待った」 立ちはだかる河野太郎氏と電力業界の言い分
2023/4/25 07:00 3220文字電力大手7社が申請した家庭向け電気料金値上げの審査が長引いている。電力大手で相次ぐ不祥事を問題視した河野太郎消費者担当相が、料金値上げの前提として不祥事への“けじめ”を求めているためだ。当初は早ければ4月とみられていた値上げの時期がどこまでずれ込むのか見通しは立っていない。国の審査の現場で今、何が
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世界でLNG争奪戦 変わったエネルギー政策の前提 資源エネ庁長官
2023/4/18 09:00 1765文字資源大国ロシアによるウクライナ侵攻は、世界のエネルギー情勢に地殻変動をもたらし、世界では液化天然ガス(LNG)の争奪戦が続いている。日本はエネルギーの安定調達を確保できるのか。日本の参画するロシアのLNG事業はどうなるのか。エネルギー政策や資源外交を担う経済産業省資源エネルギー庁の保坂伸長官に聞い
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脱炭素「日本は踏み込み不足」 異論相次ぎ難航 G7環境相会合閉幕
2023/4/17 20:40深掘り 3020文字16日に閉幕した主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合ではG7として初めて、天然ガスも含めた化石燃料の段階的廃止で合意した。交渉過程では脱炭素に向けた議長国・日本の提案が不十分だとの指摘も相次ぎ、対策強化に後ろ向きの印象を残した。日本は今後、気候危機解決の道筋を示すことができるのか。 ◇石
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東電小売り社長、再値上げ「全力で回避」 原発再稼働が遅れても
2023/4/9 02:00 670文字東京電力ホールディングス傘下で企業や家庭に電力を販売する東京電力エナジーパートナー(EP)の長崎桃子社長は8日、毎日新聞の取材に応じ、電気料金の値上げ幅設定の前提となる柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が想定より遅れた場合でも、当面は追加値上げをしない意向を明らかにした。 東電EPは家庭向け電気料金の
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関電「首脳陣が関与」 中部電「営業の合意ない」 電力カルテル
2023/3/30 21:20 2266文字中国、関西電力は30日、事業者向け電力販売でカルテルを結んでいたと公正取引委員会から認定されたことを受け、謝罪会見を開いた。一方、中部電力は公取委の決定を不服として取り消しを求める訴訟を提起することになり、電力業界は大きく揺れた。 「会社の信頼を失墜させ、巨額の課徴金納付命令を受けたことを厳しく受
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大手4電力、カルテル「ハイレベル会合」 法も消費者も軽視
2023/3/30 17:51深掘り 2423文字公正取引委員会は30日、関西、中部、中国、九州の電力大手4社が、電力自由化前の営業エリアでの電力販売を互いに制限するカルテルを結んでいたと認定した。公取委の調査では、電力の価格競争を組織ぐるみで封じていた実態が浮き彫りになった。電力大手では電力自由化を骨抜きにする不祥事が次々と発覚しており、再発防
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物価高対策、ちらつく統一地方選 「一時的な対応」に限界指摘
2023/3/22 21:00深掘り 2322文字政府は22日、追加の物価高対策をまとめた。2022年度の予備費から2兆円強を支出し、LPガスや電力を多く消費する中小企業の負担軽減や、低所得世帯向けに一律3万円、子ども1人当たり追加で5万円の給付に充てる。政府はこれまで実施してきた対策が十分に行き届いていない層への支援を図りたい考えだ。ただ、ウク
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「電力大手すべてが不祥事」の異常事態 池辺電事連に課題山積
2023/3/17 20:07 1413文字電力大手10社でつくる「電気事業連合会」の池辺和弘会長(九州電力社長)は17日、在任4年目となる3月以降も会長職を続投すると表明した。会長の在任期間は2年程度が通例だが、電力大手に不祥事が相次ぐなか、後任が見つからなかったのが実態で、電力業界の混迷が深まっている。 「この3年間で有識者や関係団体と
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欧州発LNG争奪戦、綱渡り続く日本 「来冬は予断を許さない」
2023/3/7 05:30 2772文字世界最大の天然ガス輸出国ロシアによるウクライナ侵攻は、欧州発の液化天然ガス(LNG)争奪戦を招き、日本のLNG調達も困難を極めた。火力発電や都市ガスに使われるLNGのほぼ全量を海外に依存する日本はエネルギー安定供給に向けて官民挙げての対応を迫られている。 ◇中東産資源外交、官民を挙げて 2022年
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EU内でぶつかり合う国益 代替エネルギー巡り駆け引き、日本にも影響
2023/3/3 17:29深掘り 1950文字ロシア産天然ガスの代替エネルギーを巡り、EU内で激しい駆け引きが展開されている。 スペイン北東部カタルーニャ州オスタリック市。州都バルセロナから北東に70キロの林の中にガスパイプラインの管理施設がある。12年の建設開始当初、隣国フランスに接続するはずだったが、工事はここで中断した。ニル・パピオル市
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家庭向け電気代値上げ、遅れる見通し 「4月1日実施」首相が壁に
2023/2/24 20:05 1375文字国の認可が必要な家庭向け電気料金の値上げ時期について、電力大手5社が目指す4月1日からの実施が遅れる見通しとなった。値上げ幅の妥当性を審査する経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)の議論が長引く中、岸田文雄首相が24日の「物価・賃金・生活総合対策本部」で厳格な審査を指示したことが決定打と
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揺れる日露経済 ロシアの見慣れぬカニ、米禁輸で国内に流入
2023/2/23 07:00深掘り 3128文字ウクライナ侵攻によって日本とロシアの経済関係も大きく揺さぶられている。制裁が食の世界に意外な影響をもたらすなど、複雑な貿易の実情から見えてきたものとは――。 ◇上野・アメ横に異変 2022年12月下旬の東京・上野。年末年始の食材を求め多くの人でにぎわうアメ横商店街にある異変が起きていた。 鮮魚店「
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使用済み核燃料問題で迫る原発停止 原発推進は「絵に描いた餅」か
2023/2/10 08:45深掘り 1946文字政府は10日、脱炭素社会への移行を進めるグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた基本方針を閣議決定した。脱炭素化とエネルギーの安定供給を目的に、次世代原発へのリプレース(建て替え)の推進や、既存原発の60年超の運転を認める方針を正式に決めた。東京電力福島第1原発事故以来の方針を転換し、原発
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電力自由化骨抜きに…前代未聞の不正に揺れる業界 トップ人事も混迷
2023/2/6 05:30 3142文字電力業界が前代未聞の不祥事に揺れている。電力自由化を骨抜きにするような問題が次々と発覚し、電力大手10社でつくる業界の総本山「電気事業連合会」のトップ人事にも混乱が波及している。 ◇関電が発端 顧客情報の不正閲覧 「公正な競争を揺るがすものと大変重く受け止めている。深くおわび申し上げる」。2022
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気候革命
核燃サイクルは日本の「急所」 問題先送りで地方が疑心暗鬼に
2023/2/6 05:00 1476文字脱炭素社会の実現に向けて原発が世界的に再評価される中、原発大国のフランスで原発に対する風当たりが強まっている。日本と同様、原発のバックエンド(発電が終わった後段階)に対する不信感が募っているからだ。原子力政策と立地地域の関係を長年研究している信州大の茅野恒秀(つねひで)准教授(環境社会学)にバック
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電力9社赤字 値上げ模索も相次ぐ不祥事 コンプラ対応急務
2023/2/1 20:16 1445文字大手電力10社の2023年3月期の連結業績予想は、中部電力を除く9社が最終(当期)赤字に陥る見通しとなり、燃料費の高騰が経営を圧迫する実態が浮き彫りになった。各社は電気料金の値上げに踏み切って難局を乗り切りたい考えだが、信頼を揺るがす不祥事が絶えない。国民の理解を得るにはコンプライアンス(法令順守
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不正閲覧が常態化、公平性ゆがめ 問われる九電のコンプラ意識
2023/1/25 19:23 1582文字競合する新電力の顧客情報を子会社のシステムを通じて不正に閲覧していた問題が九州電力で発覚した。2022年12月には、企業向け電力販売で自社エリアを越えた顧客獲得を相互に制限するカルテルを他の電力大手と結んだとして公正取引委員会から処分案を通知されたばかり。いずれも電力小売りの公平性をゆがめる行為で
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東電も電気料金値上げ申請 「節電にも限界」家計に追い打ち
2023/1/23 20:50深掘り 2340文字東京電力ホールディングス(HD)は23日、国が規制する家庭向け電気料金の値上げを経済産業省に申請した。値上げ幅は契約プランの平均で29・31%。6月1日の実施を目指す。ロシアのウクライナ侵攻や円安に伴う燃料価格高騰が響き、東電HDの2023年3月期連結業績予想は、最終損益が3170億円の赤字(前年
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北極海LNG開発が大ピンチ ロシア側が計画大幅修正、日本に逆風
2023/1/23 06:00スクープ 2884文字ロシア企業が主導し、日本企業も参画する北極海での液化天然ガス(LNG)生産プロジェクト「アークティックLNG2」について、ロシア側が作成した事業見直し案が判明した。ロシアのウクライナ侵攻を受け重要機器を提供する米企業が撤退したため、調達先を中国企業に変更する。事業費の上振れなど当初計画が大きく修正
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気候革命
行き詰まる核燃サイクル 原発大国フランスの悲鳴
2023/1/6 10:30 4188文字鈍く輝く煙突が、空に突き刺さる。コンクリートと鉄が織りなす建物のシルエットは、巨大戦艦のようだ。フランス北西部、コタンタン半島にあるオラノ社(旧アレバ)ラアーグ再処理工場。1966年の設立以来、フランス国内のほか、日本を含めた外国からの使用済み核燃料を再処理し、原発で再利用するウラン・プルトニウム
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