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「山高くしたいなら…」10兆円大学ファンド、識者が懐疑的なわけ
2023/9/1 10:39 2692文字世界トップレベルに肩を並べる研究大学を育てようと、政府が創設した10兆円規模の「大学ファンド」。その支援先となる「国際卓越研究大」候補の第1号に東北大が選ばれた。巨額ファンドの運用益から研究資金を捻出しようという国主導のプロジェクトは、低迷著しい日本の研究力浮上の特効薬となるのか。大学政策に詳しい
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「失敗なら氷河期に」 背水のH2Aロケット47号機打ち上げへ
2023/8/27 15:00 1032文字日本の大型主力ロケットH2A47号機が28日午前9時26分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから発射される。これまで高い成功実績を誇ってきた国産ロケットだが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による打ち上げは昨年から失敗続き。信頼が揺らぐ中、今回は世界初のミッションに挑む探査機を搭載し、背水の陣で臨
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国の研究環境改善アンケートに「本末転倒」悲鳴殺到 いったい何が
2023/8/17 07:00 2263文字日本の研究力強化に向け、政府はこの夏、全国の大学教員らを対象にアンケートを進めている。研究環境改善のため、研究以外の雑務が日々どの程度負担になっているかを問う内容だ。ところが、アンケートのあまりの分量の多さに「逆に負担が増えた」と研究者側から悲鳴が上がる事態に。「本末転倒」の元凶は? ◇「途中でギ
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目からウロコ、疑問も氷解 科学担当記者おすすめの4冊
2023/8/12 14:00 1961文字知らなかったことに目を開かされ、もやもやした疑問が氷のように解け出す瞬間はいつだって楽しいもの。知的好奇心を満足させる、そんな一冊となりますかどうか。科学担当記者がお気に入りの本を紹介します。(価格は税込み) ◇137億年の物語(クリストファー・ロイド著、文芸春秋、3410円) 何人もの友人や同僚
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科学と社会のより良い関係へ 学術会議の若手ら、10の提言
2023/8/3 07:00 1840文字科学や学術は、どうしたらもっと社会の役に立てるのか――。日本学術会議の45歳未満の研究者でつくる「若手アカデミー」が提言をまとめた。現役バリバリの研究者たちは何を思い、どのような未来を志すのか。 「20年後、社会をどうしていくのか。そこに学術や科学がどう関わっていくのか。立場を超えて議論できたら」
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10兆円大学ファンド、22年度赤字604億円 不安定な市場影響
2023/7/7 18:55 385文字大学の研究力強化のために政府が設置した10兆円規模の「大学ファンド」を運用する科学技術振興機構(JST)は7日、2022年度の運用実績が604億円の赤字だったと発表した。年度単位で運用成果を公表するのは初めて。運用益から大学に助成する仕組みだが、厳しいスタートとなった。 ファンドは世界トップレベル
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研究→実用化でもうけたいけど… 増える大学特許、肝心の収入は
2023/6/22 07:30 1771文字大学発の研究成果が特許につながるケースが増えている。国内の大学が保有する特許は、この約20年間で20倍以上に増えた。ところが、特許「数」の伸びに比べて、肝心の特許「収入」が追いついてこない。現場の試行錯誤を追った。 ◇ある新聞広告 「ご一緒に研究開発しませんか?」。2018年2月、岡山大の研究を紹
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GW、観光客は回復した?メイド喫茶、ラーメン、家電…現場で聞いた
2023/5/7 19:56 1824文字ゴールデンウイーク(GW)最終日の7日、全国的にあいにくの雨だったものの、各地で買い物や観光を楽しんだ多くの訪日外国人客(インバウンド)の姿が見られた。新型コロナウイルス禍からの脱却を目指し、商店主らからは更なる観光回復を望む声が聞かれた。 東京・秋葉原では、雨脚が強い時間帯もあったが、家電量販店
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ネットに不可欠な光通信 画期的な技術を開発した立役者
2023/4/27 14:00 1218文字世界中の人とSNS(ネット交流サービス)やオンライン会議でつながったり、海外の映画を動画サイトで見たり……。生活の必需品になっているインターネットに欠かせないのが光通信だ。東北大の中沢正隆卓越教授(70)は、その技術を開発した立役者として、「日本版ノーベル賞」とも呼ばれる日本国際賞を今年受賞した。
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対立解消の兆しなし 根強い政府介入の懸念 学術会議法改正案
2023/4/20 21:38 1413文字政府が日本学術会議法改正案の今国会での提出見送りを決めた。独立性を損ねるとして反発してきた学術会議側は歓迎するが、政府・与党は、これを機にさらなる見直しに踏み込む構えで、対立が収まる兆しは見えない。 「見送りは当然だ。学術会議に政府が直接手を突っ込むような法案だった」。菅義偉前首相に学術会議会員へ
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拡張する脳
「軍民両用」の脳科学技術 防衛装備庁が研究に乗り出した狙い
2023/4/19 07:00 2114文字ロケットや人工知能(AI)など、軍事利用と民間利用の両方に応用できる「デュアルユース(軍民両用)」技術。日本政府は研究機関に資金を出し、最先端の技術を発掘しようとしている。これまでは理工学が研究支援の対象だったが、近年になって脳科学など生命科学のテーマの研究支援にも乗り出している。 1月、国際神経
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拡張する脳
中国軍が関心、敵兵の「脳を支配」現実味は? 米中で研究加速
2023/4/18 07:00 2114文字脳と機械をつなぐ技術は、医療やビジネスの世界だけでなく、安全保障の分野でも実用化が模索されている。中でも米国と中国は、技術開発でしのぎを削る。国際学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」のウェブサイトには、中国・杭州の浙江(せっこう)大が実施したある実験の映像が公開されている。 箱の中に迷路のよう
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失った腕が痛む「幻肢痛」 VR技術を応用したリハビリに見る希望
2023/3/23 11:00 2109文字東京都文京区にある雑居ビルの一室。アトリエのような部屋では、右肩から先の腕を失った男性が頭にVR(バーチャルリアリティー)ゴーグルを被り、椅子に座っていた。男性の目の前には、赤外線が出る装置が置かれている。 「なるべくゆっくりやりましょう」。指導者から声を掛けられると、男性は頭の中でイメージを始め
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粘菌の驚異の能力 単細胞生物から学ぶ「知性」とは
2023/2/21 10:00 1844文字落ち葉や朽ちた木の表面などでひっそりと生きているアメーバ状の生き物「粘菌」。その意外な驚くべき能力を、最先端の技術に応用する研究が進んでいる。人間はこの不思議な生命体から何を学ぶのか。 粘菌は菌という名がつくが、動物でも植物でも菌類でもない単細胞生物だ。ゆっくり動き回ってエサをとりながら成長、合体
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拡張する脳
国への忠誠心が解読される? 技術の危ない使い方
2022/12/20 05:30 2640文字政治思想が他人に解読され、為政者の意にそぐわない者が暴かれる――。そんな暗い監視社会の到来を予感させるような研究が、6月にウェブサイトで公開された。 「(中国共産党員の)政治思想教育の受け入れ度を把握し、学習効果を評価できます」。中国東部・安徽(あんき)省の合肥総合国家科学センターの人工知能研究院
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拡張する脳
「バーチャル美少女ねむ」さんに聞く脳科学の役割
2022/12/18 05:30 2292文字インターネット上には仮想空間「メタバース」が広がる。そこでは自分の分身となるキャラクター「アバター」を通せば、現実とは別世界の生活を送ることができる。そこで既に長時間過ごしている「バーチャル美少女ねむ」さんは、この仮想空間と脳科学がつながると、どんな世界が広がると考えているのだろうか。 最初に、日
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拡張する脳
「脳波買い取りセンター」 記者が足を運ぶと…
2022/12/16 05:30 1223文字「脳波買取センターを作ります」。今夏、SNS(ネット交流サービス)をチェックしていたら、こんなイベントの案内が目に入った。記者は大学時代に脳科学を学んでいたこともあり、気になる文言だ。7月下旬、会場となった東京都千代田区のアートギャラリーに足を運んだ。 スタッフに連れられ自動ドアの先に進むと、近未
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拡張する脳
社員は耳に装着 脳波ビジネスは何をもたらすのか
2022/12/16 05:30 2352文字東京都八王子市内の山の中に建つ工場内を記者が訪れると、封筒に書類を入れる機械などから「シャーシャー」という音が響いていた。ここでは、凸版印刷の孫会社にあたる「トッパン・フォームズ・セントラルプロダクツ」が、ダイレクトメールや請求書などの印刷や封入の作業を請け負っている。 作業スペースの端では従業員
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拡張する脳
イーロン・マスク氏が注目 「ブレーンテック市場」とは
2022/12/15 05:30 2692文字「頭蓋骨(ずがいこつ)の一部を、スマートウオッチに置き換えるようなものです。あと半年もすれば、人間の脳と接続できます」 日本時間12月1日、米サンフランシスコ近郊のベンチャー企業「ニューラリンク」本社内で開かれた説明会で、最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は壇上に立って熱弁を振るった。そ
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拡張する脳
脳に「本音」語らせる? ドコモのCMの裏にある最新科学
2022/12/14 05:30 2992文字赤い詰め襟の学生服に、鉢巻きとたすきを身につけた人気俳優の浜辺美波さんが「応援団」になり、スーパーマーケットで買い物客に呼びかける。「たまる! たまる! たまるぞdポイント!」 そんなNTTドコモ(東京都)の15秒間のテレビCMが7月、全国で放映された。 このCMは、ドコモにとって初めての手法で制
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